Ask Riot:バン数増やせない?
Ask Riotへようこそ!
今週はバン、ポーション、ボットレーンの三本立てでお送りします。
また、質問はいつでもこちらで受け付けています!皆さんから質問が届くたびにナミがムーンストーンへ少しずつ近づいていきますのでよろしくお願いします(ちなみに公式設定ではありません、私にそんな権限はないので…)。
チャンピオン選択でのバン数を増やしてもらえませんか?
バンには、特定のマッチアップや強すぎると考えるチャンピオンを各プレイヤーが自分の判断である程度避けられるという重要な役割があります。1試合あたりのバン数を増やして欲しいという要望はプレイヤーの皆さんから時折届くのですが(今回もそうですね)、たとえばバン枠を10から20(1人2枠)した場合を想定してみると、総合的にはプラス面よりマイナス面のほうが大きくなる可能性が高いと考えています。以下に詳細をまとめてみましょう。
バン数を増やした場合のプラス面
- 当たりたくない/相性が極端に悪いマッチアップをより高確率で回避できる。
- 戦略性が若干上昇する:より尖ったチーム構成を取った上でカウンターとなるチャンピオンをバンするなど、試合前の意思決定で戦略性が多少向上する。
バン数を増やした場合のマイナス面
- チャンピオン選択がより複雑になり、時間も長くなる:試合前のチャンピオン選択画面では現在でもかなり時間がかかっていますし十分に複雑です。目標としては試合開始までの時間を短縮し、やり直しになる可能性を下げたいと考えています。
- プレイしたいチャンピオンが使えなくなる可能性が高くなる:「対面したくない、相性が悪いマッチアップを避けられる」ということは、言い換えればあなたがピックしたいチャンピオンがバンされる可能性も高くなるということです。これは慣れたチャンピオン数が少ない新規プレイヤーや、バンで実質的選択肢を潰される傾向の強いチャンピオン/クラス(アサシンなど)に特化したプレイヤーは特に大きな打撃となるでしょう。
- 極端な状況が生じた場合に影響が大きい:バン数が増えた場合、かなりの数のポジション/クラスが丸ごとバンできてしまいます。マークスマン、エンチャンター、アサシン、タンク…どのクラスがプレイできない状態になるのもゲームにとって健全ではないでしょう。
一方、過去にバン数を6枠から10枠に引き上げた際には、プラス面とマイナス面を考慮しても総合的にゲームにとって有益であると判断していました。この時はチャンピオン選択の複雑さが逆に低下し、「全員が1体ずつバンできる」公平な状態へ移行できています。また特定のクラスが実質的に使えなくなるリスクも回避しつつ、プレイヤーの試合への介入能力を高めることができていました。
というわけで質問への回答をまとめると…現時点でバン数を増やすと、結果的にマイナス面のほうが大きくなってしまうと私たちは考えています。しかし本件についても継続的に再評価を行っていくので、将来的に別の結論に至ることもあり得るでしょう。
Riot Scruffy ゲームデザインディレクター
体力ポーションはどんな味がするんですか?そもそもチャンピオンたちはちゃんと飲んでいるんでしょうか?戦闘中でもレーンへ移動している時でも一瞬で飲んでいるように見えますが。
ゲーム内で…つまりルーンテラでリーグ・オブ・レジェンドというMOBAゲームのアイテムがどのように認識されているかについて、我々はあまり多くを知りません。どこかにポーションやエリクサーの工場があって、同一製品が大量生産され、世界各地でマーケティングが行われているようなことはないでしょうけれど。そしてティーンエージャーのエコー、永遠の時を生きる半神の戦士ナサス、そびえ立つペトリサイトの彫像ガリオでは同じ「飲料」でも味に対する評価が変わるのは自然なことのように思えます。
これについては、おそらく魔法アイテムから市販品まで「体力を回復する消耗品」全般をざっくりとまとめた概念のように捉えておくのが分かりやすいのではないかと思います。質問文でも指摘されている通り、本当に服用しているのかは誰にも分かりません。もしかしたら傷口に塗り込んでいたりするかもしれません…が、それだと余計に時間がかかってしまいますね。
そしてそろそろお気づきかもしれませんが…ええ!私は自分が答えを知らないと認めないようにお茶を濁しています!私個人は試合中にボコボコにされるたびに(つまりほとんどの試合で)、ポーションはきっと甘いフルーツポンチみたいな味なんだろうなあと想像しています。
別の答えとしては「良薬口に苦し」を地で行くような最低の味、というのもありえますが、それでは面白くないですからね。
Riot Scathlocke ナラティブエディトリアルディレクター
ボットレーンの多様性があまり問題視されないのはなぜですか?どうしてマークスマンが、マークスマン「だけ」がボットレーンを担当するのでしょう?
これは大変興味深い質問ですが、印象が現実と乖離しがちであることも同時に示しています。というのも、実はボットレーンの勝率ランキング上位にいるチャンピオンの一部はスウェイン、カーサス、ハイマーディンガーなどマークスマン以外のチャンピオンだからです。また、ベイガー、セラフィーン、ジグスといった一部のメイジが最高勝率を出しているポジションもボットレーンだったりします。というわけで以下では「ゲームシステム的にボットレーンに行けるのは誰か」よりも「どうしてボットレーンに行けるのはマークスマンだけだと感じるのか」を考察してみましょう。
それにはまず「どうしてプレイヤーはそう感じるのか」を読み解く必要がありますが、実はかなりの部分が外部からの圧力によるものです。ボットレーン=マークスマンというメタは長年にわたり主流であり続けてきましたから、メタから外れたチャンピオンをピックするのは大きな心理的抵抗を生みます。またサポートとデュオを組んでプレイするボットレーンでは、デュオ相手のチャンピオンが各状況において何をすべきかを互いに理解している必要があるため、不慣れなチャンピオンと組むと難易度が高くなるという問題もあります。そして最後に…実はこの質問自体に「予言の自己成就」的側面があります。「マークスマンだけがボットレーンに行ける」という文章を目にしたプレイヤーは、毎回そのように認識を強化していくことになるからです。
一方、プロシーンでマークスマン以外が活躍すれば間違いなくこの認識も変化していくでしょう。最近では競技シーンでセラフィーンをボットレーンに置くのが有効な戦略とみなされたことで、ソロキューでもボットレーナーとしてのピック率が上がっていますし、「断食セナ」も慣例から外れた戦略で活躍できることを証明しています。おそらく今後もいろいろな形で伝統的メタは崩されていくことでしょう。
Jag リードゲームデザイナー