Ask Riot:ロッド・オブ・エイジスはどこへ消えた?
Ask Riotへようこそ!
今回はアイテム、MMR、そして時間帯ごとの各ロールの強さについてです。
また、質問はいつでもこちらで受け付けています!!皆さんの意見を聞くことはチームの幸福度アップにもなりますので、気になることがあればぜひお送りください。
新シーズンで一部のアイテム(ロッド・オブ・エイジスなど)が削除された理由は?
まずプレイヤーの皆さんのお気に入りアイテムを削除するのは極力避けたい、というのが私たちの方針だったのですが、既存のアイテムの中には一部の指針にそぐわないものがあり、そういったアイテムは削除/リワークを実施せざるを得ませんでした。新シーズンに削除/リワークされたアイテムは通常、次のいずれかの条件に合致したものです。
- 対抗手段が存在せずゲームの健全性指針にそぐわない(アサシンがヘクステック・ガンブレードの発動効果をターゲット指定ダメージとして利用する)
- 他のアイテムと目的が重複している(スタティック・シヴはルナーン・ハリケーンと類似点が非常に多い)
- 一部のチャンピオンにとって「最初に完成させる必須アイテム」として固定化されており、より柔軟な選択肢を提供する方向へ調整できず、ミシックアイテム化した場合に対象チャンピオンたちの選択肢を制限してしまうロッド・オブ・エイジスは体力とスケーリング(終盤までの伸びしろ)を必要とするマナ使用チャンピオン、ヘクステック・ガンブレードのサステイン(体力維持)能力と物理攻撃力/魔力の両方を得られる点は、ハイブリッドダメージ型(物理/魔力の両方を使う)のチャンピオン達にとって必須)
さらにロッド・オブ・エイジスは費用対効果が極めて高いアイテムであるにもかかわらず、性能の都合でごく一部のチャンピオンにしか使用されていませんでした(アニビア、ツイステッド・フェイト、ライズなど)。またマナを持たないモルデカイザーやランブル、あるいはシンジドやアカリなど、ハイブリッドダメージ/耐久力/回復性能を求めるチャンピオンにとって有効な選択肢になり得ない反面、相性の良いチャンピオンにとってはそれ以外の選択肢が実質的に存在しないほど強力なアイテムとなっていました。
実はロッド・オブ・エイジスのミシックアイテム化というアイデアは何度もテストしていて、その際にはセラフ・エンブレイス/ムラマナのような変化/自動効果を付与する案も試しています。しかしバランス調整後の状態では、ミシックアイテムの割に最大限の効果を発揮するまでの時間が長過ぎるとプレイヤーが感じることが判明し、おまけにスケーリングを求めるチャンピオンにとって「選択肢のひとつ」ではなく必須アイテムとなってしまいました。要するに、ミシックアイテムの指標「満足感」と「選択肢」の2つを提供できない結果だったのです。
結局ミシックアイテム版ロッド・オブ・エイジスは試行錯誤の末、マナを使用しないチャンピオンに回復性能と耐久力を提供するニッチな需要に応えるアイテム「リフトメーカー」となりました。今後はマナ使用チャンピオンが生存能力を優先する場合は、状況にもよりますが「エバーフロスト」が候補になるでしょう。なお、本アイテムは現在振るわない状態にあるため、今後1~2パッチ中にバフ(強化)を入れる予定です。
PhRoXzOn ゲームデザイナー - サモナーズリフトチーム
ラダーシステムの透明化を向上させる予定はありますか?ELOとMMRのせいで色々と理解しにくいと思うのですが。
こちらについては過去にも何度かお話ししていますが、その方針は今も変わりありません。現在、皆さんのスキル判定は基本的にMMRに基づいて行われています。そして皆さんの実力を過小/過大評価したようなマッチングが時折行われるのは、まさにこのMMRの正確性を維持するためです。MMRだけを見ていると、負ける=ゲームが下手になったと評価されたように感じるかもしれません。しかし実際には「意図的に強い相手と対戦を組む」ことであなたの実力を測り、以後のマッチング精度を向上させているのです。
LoLでMMRをランク化してあるのは、プレイヤーが1試合の結果に注目するのではなく、ティアやディビジョンという区切りによって長期的な成長に注目できるようにするためです。ランク戦では1敗した結果だけを評価して降格することはありませんし、逆に1勝した結果だけで昇格することもありません。突き詰めれば、あなたのランクはこれまで積み重ねてきた試合の成績によって決まるわけです。また、運に恵まれず連敗した場合の措置が過剰にならないようにする降格猶予などの仕組みもこのシステムが可能にしているものです。
私たちは今後もランク/MMRの両システムがより円滑・正確に動作するよう尽力していきますが、同時にいずれか一方が設計意図から外れるような挙動をしないよう配慮していきたいとも考えています。
Riot IAmWalrus リードゲームデザイナー - コンペティティブゲームプレイチーム
試合の各時間帯において各ロールが果たす役割についての目標はありますか?たとえば全ロールは全時間帯で同程度の強さを発揮できるべきとか、一部ロールは他よりも強くあるべき、とか。現時点ではADCの成長曲線が他ロールに合わせて調整されているように見えるので、開発側の意見をぜひ聞いてみたいです。
目標は各ロールのプレイヤーが「試合の結果を意味ある形で動かせると感じられること」です。またマップの形状(ドラゴンは序盤からボット側に、バロンは終盤にトップ側に出現すること、ミッドレーナーは他レーンへロームできることなど)を考慮し、試合の最初から最後まで各ロールの強さを同等にすることは目指していません。むしろ「強さ」曲線の違いが時間帯によって若干の有利・不利を生むのは良いことで、意思決定や戦略的要素の幅を広げると考えています。
これはロールについても同様で、「何をもって強さとするか」の指標はロールによって異なるべきだと考えています。1v1性能だけを見ればサポートがミッドレーナーと張り合うのはまず不可能ですが、視界確保やユーティリティ(与ダメージ以外で貢献する能力)性能の高いスキルセットは試合が進むほど重要性が高まっていきます。サポートは直接的な戦闘力で劣るため戦略的能力の指標がより重要になる、とも言い換えられるでしょう。
またロール別の比較以外では、同じチャンピオンクラスの「時間帯ごとの強さ」も多様性を感じてもらうための健全な要因だと考えます。分かりやすい例としてマークスマンを挙げると、序盤のレーン戦強者(ドレイヴン、ケイトリン)と終盤戦のハイパーキャリー(ヴェイン、コグ=マウ)にはかなり明確な違いがあります。これはプレイヤーが自分の好むスタイル/チーム構成の目的に合致するピックをするための選択肢を提供するためのものです。
なおプレシーズンのアイテムシステム刷新ではマークスマン向けアイテムの強さ曲線が終盤に急傾斜になりすぎてしまい、マークスマンが最大のパワースパイク(急激な戦力の上昇)を迎える前に試合が終わってしまう状況が生じてしまいました。その後私たちはマークスマン向けアイテムのパワースパイクを早める変更を加えましたが、これは他のロールに合わせて調整したというよりも、試合のリアルな流れに合わせたと言ったほうが正確でしょう。なお、方向性の観点から見ればこれら変更は改善と呼んでよさそうですが、今後マークスマンの強さ曲線は総合的に見て終盤戦に向けて上昇していくかたちに微調整していく予定です。
Riot Sotere シニアゲームデザイナー - サモナーズリフトチーム