/dev: 2020年を振り返る
皆さん、こんにちは!2020年は長くも短くも感じられる年でしたが、いよいよ終わりが近づいてきました。そこで、この一年間にLoLに起こった出来事を振り返ってみたいと思います。私たちが掲げていたテーマは、皆さんがプレイする一つひとつの試合を少しだけ良くすることでした。これは本当です。そのために、以前から約束していたことを実現し、以前から抱えていた問題に対処しなければなりませんでした。そして私たちはこれに集中する必要があったのです。なぜなら、今後数年間に渡る計画をすべて実現するためには、LoLの基礎を強化する必要があると感じていたからです。
そこでLoLの核となるゲームの流れを対戦開始前、対戦中、対戦終了後に分けて考えました。まずは、対戦開始前からお話しします。
クライアント
対戦外の体験を改善するにあたっては、クライアントのパフォーマンスが最大の焦点となりました。まずはテレメトリーを改善して、チャンピオン選択や対戦終了後画面などの問題のあるエリアの原因を理解することから始めました。そして残念ながら、1つの原因に集中して対処すれば解決できるわけではなく、様々な理由でクライアント画面の信頼性が低いことが分かりました。そこで私たちは本腰を入れて取り組み、クライアントの安定性、反応性、ロード時間の改善を継続的に行い、学びながらも、徐々にその作業に勢いをつけていきました。
とはいえ、私たちは過去数年間に渡って、パフォーマンスの改善が目に見えるものであるかどうかについては、捕らぬ狸の皮算用をしてはいけないことを学んでいました。しかし、今年行われた様々な変更による影響が積み重なり、2020年初頭と現在のクライアントの状態を比較すれば、目に見える具体的な改善が得られたと確信できます。以前よりも起動が速くなっており、ほとんどのプレイヤーは読み込み時間が約16秒短縮されています。またアーキテクチャの改善によって、チャンピオン選択や対戦結果画面、ルーン、コレクションなどの頻繁に使用する画面での反応性と信頼性も高まりました。さらに、メモリ不足によるクラッシュを49%削減し、100以上のバグに対処して、ナビゲーション体験が全体的に改善されました。
ただし、今年の成果を理由に作業を止めるつもりはありません。まだ改善の余地はあり、来年もクライアント改善の長いロードマップを用意して作業を続けます。
エレメントの目覚め(昨年のプレシーズンのゲームプレイ)
昨年のプレシーズンの話をしてから随分時間が経ちましたが、その後、ゲームがどのように落ち着いていったかについてお話ししたいと思います。
サモナーズリフトの進化に合わせて、私たちは試合の序盤、中盤、終盤の区切りを明確にすることを目標として、チャンピオンのスキルキットやマップ全体への意識の高さに応じて、様々なやり方で優位を得ることができる差し迫ったゲームプレイの機会を設けました。「ドラゴンソウル」に関しては、自分たちのチーム構成に対するソウルの価値に応じてプレイを最適化することで、バロン以外の勝利条件を作り出すことが目的でした。そしてドラゴンソウル(とエルダードラゴン)は、終盤のドレイクを中心にして、これまでには無かったような緊張感のある重要な瞬間を生み出してくれました。エレメンタルリフトとソウルのタイプに応じた試合ごとの変化は、私たちの想定ほどにはなりませんでしたが、全体としては、これらの変更によってマクロの意思決定とオブジェクトの駆け引きの幅が広がったことには満足しています。
ミシック合成(今年のプレシーズンのゲームプレイ)
そうです、これが今のシステムです。LoLには長い年月をかけて生まれた象徴となるアイテムがいくつも存在しますが、ショップ内のすべてのアイテムに個性を持たせるのは大変で、これが私たちの苦戦する部分でした。存在意義が不明瞭なアイテムや、ぎこちないビルドパス、必となったのアイテムや誰も使わないアイテムなど、数シーズンに渡って問題が積み上がっており、すべてをやり直す必要があったのです。すでにご存知だと思いますが、私たちはクラス別のアプローチを行い、「ミシックアイテム」の追加を含み、ショップがあらゆるプレイヤーのニーズに応えられるようにしました。
また、アイテムショップとアイテムシステムの中心となるインタラクションを完全にリニューアルしました。より洗練された技術を利用することで、今後数年に渡たるショップの有用性を改善することが可能になり、これが私たちにとっては時間とともに変化するバランスやメタ、プレイヤーの選択にショップを対応させるチャンスにもなりました。そのアイテムが3ヵ月前は最適な選択肢だったとしても、現在はそうでないなら意味がありません。意義のあるおすすめアイテムをショップに表示することは、新規プレイヤーにとっても、久しぶりに復帰したベテランにとっても貴重で便利なツールとなります。
フィードバックに関しては、現在はまだ初期の傾向を検証している段階です。一般的にプレシーズンは様々な実験を行うので、より攻撃的にプレイすることが多くなり、常にキルが増える傾向があります。たとえば、「ダメージが増加している」という懸念の声が多く寄せられています。最近のパッチの変更に関連する“実際のダメージの増加”もありますが、実際にはプレイヤーが予想していなかった状況でキルされることで“ダメージが増加している気がする”という理由もあると思います。バランスに対する初期のフィードバックを慎重に検証しているところですので、今後もフィードバックをお寄せください。2021年に向けてシステムのフラストレーションとなっている部分を理解することは、来年初頭に私たちが集中的に取り組むべき部分を判断するために役立ちますから。
新たなショップについてのフィードバックも注目しています。最初のリワーク作業は終わったので、次は皆さんから指摘があった問題点に取り組みます。主なものとしては、解像度の修正やショップのサイズを調整するオプションメニュースライダー(パッチ11.1でドラッグによるサイズ変更機能を導入)、クイック購入パネルのピン留め機能、おすすめタブの視認性の向上などです。データが表示された新たなショップのおすすめも実装しており、これが意思決定にどのような影響を与えるのかを見ることを楽しみにしています。これらの機能はまだ開発中なので、今後もご意見をお寄せください。
プレイヤー行動システム
これはシーズン開始時に指摘していた分野ではありませんが、前回のRiot
Plsで言及した内容です。今年は、プレイヤーの更生からゲーム内環境の改善へと焦点を移しました。初期の取り組みとしては、意図的なフィードやAFK(離席行為)の検出精度の向上があります。今年の結果には大いに満足しており、検出精度の向上によって意図的なフィードに対してペナルティーを受けたプレイヤーの数は50%増加しました。
クライアントの作業と同様に、ここでも改善作業を続け、ゲーム内でAFKや放置を行うプレイヤーの検出とペナルティー付与の対処も開始しました。さらにAFKの影響を受けたプレイヤーへの軽減措置も最近導入され、ランク戦の減少LPの軽減と、サモナーズリフトのすべての試合における早期降参システムへのアップデートも行われました。来年はこの分野の作業をさらに続けます。
チャンピオン
チャンピオンの数が拡大していることから、チャンピオンに関しては一年を通してポジションや役割へ均等に作業を行い、チャンピオンをイベントと結びつけて、そのテーマを強調できるようなリリースの仕組みを意識していました。その例として、「精霊の花祭り」でリリアとヨネの繋がりが詳しく語られたことが好意的に受け取られたことには満足しています。今年はポジションと役割の配分も改善しており、セトはトップ、リリアはジャングル、ヨネはミッド、サミーラはボット、セラフィーンはミッド、レルはサポート、となっています。また、これらのうちの一部はポジションがフレックスでもあります。
チャンピオンのリリース時のバランスとスキルキットの複雑さも、繰り返し持ち上がるトピックです。取り組みは現在も続いていますが、2020年のリリースはこれまで以上にバランスが取れており、必要なフォローアップ調整の数も減少しています。2020年の新チャンピオンのバランスに対するアップデートされたアプローチをこのまま続けて、さらに改善を行っていきます。
VGU(ビジュアル・ゲームプレイ・アップデート)に関しては、開発初期の作業を公開しながらフィドルスティックスとボリベアのリワークを行えたことに満足しています。残念ながら、新たなVGUの投票は私たちが想定したようには実現できませんでした。次はドクター・ムンドが予定されており、来年のVGUの作業はもう少しスムーズに進むと思われるので、2021年には再び投票を実施する予定です。投票を実施する際には、お馴染みの顔ぶれと、意外な(願わくば!)顔ぶれも登場する予定です。
スキン
より多くのプレイヤーの期待に応えるという点では、スキンは常に判断に苦しむ問題となっています。人気のチャンピオンに多くのスキンをリリースすべきか?ニッチなチャンピオンにスキンをリリースすれば、多くのプレイヤーの期待に応えられないのではないか?スキンの使用回数はチャンピオンの選出に大きく依存します。同時に、その選出にはロースター発展の精神と保証が足りていないと感じてしまいます。チャンピオンを習得するために時間を費やすとき、ライアットがそのチャンピオンへのサポートを続けて、労力をかけてくれるいう確信がほしいものですから。
そこで、私たちは過去数年間に渡って、コンテンツパイプラインの規模を拡大して、使用率の高いチャンピオン向けにリリースするコンテンツの数を減らすことなく、あまり使用されていないチャンピオンにもスキンをリリースできるようにしました。また、プレイヤーはどんなスキンやデザインを好んでいるのか、どんなチャンピオンを使用したいのか、なぜそうなのかを調査し、プレイヤーの好みに合った、より新鮮だと感じられるテーマを開発する際に、そこで学んだことをどのように活かすべきかについても考えました。
今年は約120体のチャンピオンの、144種類のスキンをリリースしました。コズミック スカーナーや精霊の花祭りキンドレッド、プールパーティ タリヤなどのスキンが好意的に受け入れられたのは嬉しかったです。チャンピオンの人気による使用率の差はありますが、そのチャンピオンをメインで使用しているプレイヤーはこれらのスキンをより頻繁に利用しています。ですので、より共感されるテーマにチャンピオンを一致させるクリエイティブな研究開発は上手く行っていると感じます。結果には満足していて、来年もこの作業をさらに続けていくつもりです。
イベントとゲームモード
シーズン開始時には、イベントごとにゲームモードを実施すると約束していました。これはサモナーズリフトで息抜きとして楽しめる様々なモードを復活させることを意味します。注目は見た目が新しくなった「ネクサスブリッツ」で、さらに「ピックありURF」や「ARURF」、「ワン・フォー・オール」などがLoLのゲーム内イベントとして継続的にリリースされました。今後も様々な試みを行う機会を模索し、2021年もモードの数を拡大していきます。
イベント全体に関して言えば、もっと完全な体験として感じてもらいたかったと思っています。これにはゲームモードも含まれますが、アイオニアの神話を元にした精霊の花祭りのようなゲーム外の体験も含まれます。また、プレイインからファイナルまでのトーナメントをフォローすることが容易になった今年のWorldsトラッカーのように、イベント自体をフォローする方法の改善も含まれます。特にWorldsに関しては、今年のK/DAは音楽体験との融合型イベントとしては最高のものだったと思っています。
2020年にはライアットのゲーム間でのコラボレーションも行われ、LoLのエコシステム全体で主要なイベントを様々なやり方で体験できるようになりました。ライアットが他のゲームをリリースするたびにLoLへの影響を懸念する人たちがいたことも理解していますが、一年が経過して、いいこと尽くめだったと感じています。精霊の花祭りの参加者数やWorldsの視聴者数が過去最高を更新したことなど、大規模イベントの結果には満足しています。私たちの誰もが今年上手く行ったことを将来のイベントに活かす方法について考えています。次のイベントもきっと皆さんに気に入ってもらえると思います。
Clashとランク
とうとう胸を張ってClashがリリースされたと言えるようになりました。多くのClashチームが互いに競い合っただけでなく、ほとんどの場合は各トーナメントに戻ってきてくれていることを嬉しく思います。今年はサーバーの負荷に耐えられるスムーズなローンチを実現することに集中していました。外出規制の影響で、より多くのプレイヤーが参加してくれました。しかしそれをさらに拡大し、スケジュールの自由度も拡大して、さらに多くのClashを開催するつもりです。今後は、Clashへの参加や実績の披露をより簡単にすることを考えています。これについては新年にまたお伝えいたします。
次はランクについてです。これは私たちがコンペティティブ・インテグリティ(競技の公正さ)の維持が最も重要だと考えている環境です。ランクはプレイヤーが自分のスキルを試す中心となる場所であり、特にあらゆる細かな変更が対戦品質とランキングの健全性に大きな影響を与える上位ティアおいて、ランクへの調整はどれも重要な意味を持ちます。今年の主なランクの改善は、どこでもオプションおよびプリメイドの数が各チーム同数にする調整と、それに伴う対戦待ち時間への影響を最悪の場合でも1~2分間増加までに抑えることでした。新たなシーズンに向けて、ディビジョン間の昇格戦を廃止して、何度も繰り返すフラストレーションを解消し、ランク上位を目指す挑戦において、試合ごとの進捗の意義をもっと実感できるようにしました。
これらの変更にはランクに対するアプローチの変化が反映されています。より物事を段階的に進めていくことで、プレイヤーからのフィードバックに合わせた調整を行えるようになり、ランクの仕組みが突然変化して公開時にプレイヤーを驚かせることがなくなります。全体としては、透明性が高く、ゆっくりと、できる限り自然なやり方でランクを改善できることから、この手法には満足しています。
2020年の締めくくり
この振り返りの記事を最後まで読んでいただき、2020年も私たちと一緒にいてくれたことに感謝いたします。これらすべてがあっという間の出来事だったように感じますが、これを読んで、今年の旅の成果と、私たちが改善したい点について少しでも理解していただけたなら幸いです。皆さんの存在が刺激となって、私たちは2021年に向けて高い基準を維持してゲームの改善を続けられます。楽しい年末年始をお過ごしください。それでは、サモナーズリフトでお会いしましょう!