/dev: ケイトリンのテーマを作曲する
皆さん、こんにちは!私たちオーディオチームは、ケイトリンのアート&サステナビリティ・アップデート(ASU)の一環として、ケイトリンの新テーマの制作に取り組みました。テーマを作曲した際のエピソードや、皆さんのために用意した「あるもの」についてお話したいと思います。さあ、席について、音楽に耳を傾ける準備はいいですか?合言葉は「エブリ・グッド・ボーイ・ディザーブ・ファッジ」(良い子にはキャンディを)です。
狭いピルトーヴァーに、山ほどの保安官
シニアコンポーザー、Alexander “Scherzo” Temple:
チャンピオンのテーマを制作する際は、まずルーンテラのどの地域にルーツがあるのかに目を向けることから始める必要があります。ピルトーヴァーにおける音楽の幅は、歴史的に様式と正確さに重きをおくオーケストラ作品によって定義されてきました。例を挙げると、カミールやセラフィーンのテーマ、LoRのボード用楽曲などにそうした要素が盛り込まれています。
ピルトーヴァーは、発明家や科学者、夢を見る者たちが暮らす街です。よく調和した街ですが、調和の下にはある程度の中立性が──不確かささえもが存在しています。まるで、この街の進歩が必ずしも良いことであると誰も確信が持てていないかのようです。そこで、楽曲中に予期せぬ不協和音を散りばめてみようということになりました。
ケイトリンの音楽言語に既存のピルトーヴァーの楽曲との一貫性を持たせつつ、彼女とピルトーヴァー全体を差別化できないほどには堅苦しくならないようにしたいと考えました。
時計や歯車といった「ファウンド」パーカッションと、さまざまな種類のリズミカルなツィター、鍵盤、弦の組み合わせによって、ピルトーヴァーらしい雰囲気を作り出せることが分かりました。そこから、既存のピルトーヴァー音楽の延長のような感触は残しつつも、伝えたいストーリーの幅を広げるために、より発展させた従来のオーケストラの解釈を取り入れました。
しかし依然として、ピルトーヴァーを象徴するだけにとどまらない何かが必要だと感じました。ケイトリンを象徴する何かが、です。そこで彼女の人物像に目を向けたとき、際立っていたのは裕福な上流階級出身という彼女の生い立ちでした。
私はテーマ全体に小さな装飾的要素やきらびやかなパートを取り入れました。それらはピルトーヴァー上流階級の確立された音楽的伝統が元になったような響きを持っていますが、中心的要素というよりは、痕跡的な装飾のように感じられる方法をとりました。こうした要素は彼女という人間の一部を表してはいますが、彼女のすべてを特徴づけるわけではありません。
メロディーに関して言うと、ケイトリンの楽曲では2つのテーマを1つに合体して用いるということに落ち着きました。テーマAには複雑さと正確さの要素が存在しており、彼女の探求心旺盛で極めて知的な面を反映することを目的としています。テーマBはより叙情的で規則正しく、意図的です。ゆったりとした自信が感じとれ、彼女の高潔な一面を捉えていると思います。これは彼女と家族の共通テーマとして作曲したものの変奏曲でもありますが、ケイトリン個人の「同調しない」個性を持たせるために再構成しました。技巧的になりすぎることなく、その個性を加えるのにちょうど必要なだけ再編成した、ピルトーヴァーらしさを失わない程度にスパイスの効いた和音を入れた和声進行を見つけたのです。
「エズリアルのガントレットが真っ先に故障するでしょう」 - ピルドーヴァーの音楽理論家…とおぼしき人物
サウンドデザイナー、Emmanuel “Riot Gunlap” Lagumbay:
ケイトリンのフルオーケストラよるテーマ曲に加え、私たちは何か新しいことに挑戦したいと思い立ちました..そう、ピアノアレンジです!さらに、ピアノを演奏する方のために楽譜をリリースしたいと考えました!
これまでの10年間、LoLの楽曲のカバーをたくさん見て(聴いて)きました。皆さんが考案したカバーを聴けるのはとても嬉しいものです。今回は、1つの楽器で演奏できる公式ピアノバージョンを公開することで、皆さんを支援したいと考えました。なぜなら──現実的な話をすると──全員が全員、自宅にバンドやオーケストラを抱えてはいないからです!
ピアノバージョンはHarlan
Hodgesによって編曲、演奏されています。ヴィエゴのテーマで彼のピアノ演奏を聴いたことがある方もいるかもしれません。Harlanは、Scherzoの原曲のスコアの完全なオーケストレーションを表現しようと努めました。当初、この楽曲はもう少し易しい難易度になる予定でしたが、最終的には上級者レベルのピアノ楽曲になりました。そうは言っても、何回か曲を聞き込んでいくつかの調整を行うことで、ケイトリンを象徴する中心的な音楽要素を残しながら単純化して、演奏しやすくすることは可能です。
制作過程に関する彼の考えと、曲を練習するためのヒントも聞いてきました!
テンポの変化
編曲家兼ピアニスト、Harlan Hodges:
オーケストラの構成全体に散らばっているキャラクター中心の音楽要素をすべて特定し、ピアノソロバージョンでどれが機能するのかを判別することが重要でした。このようなアレンジにおいて難しいのは、そうした要素を見つけるだけでなく、作曲家による元々の特色と意図が失われるほどには要素を減らさないようにすることです。
オーケストラの楽譜を元にして、ピアノ楽曲のように「感じ」させるのは非常に難しいことかもしれません。私が重要な要素を探し出すのに最適だと思う方法は、実際の楽譜を見る前に、曲を通しで聴いて、いくつかの基本的なパートを演奏し、録音してみることだと思います。耳で聞いた時に際立ち、簡単に覚えることができたパートは、欠かすことのできない要素として集約しました。
この曲の練習と演奏に関して言うと、終盤の両手の大きな「跳躍」はすべて身体に覚え込ませる必要があります。 遅いテンポで練習し、しっかりと深く打鍵してください。この練習をすることで、両手を見ることなく跳躍の間隔を掴んだり、オスティナートや繰り返される旋律が焦って聞こえなくならないでしょう。右手の三連符と強弱の変化にもトリッキーな部分があるので、恐れずに1つの強弱記号でテンポを速めたり、遅らせてみてください!難しくとも、挑戦して学んだことの見返りは本当に大きいと思います。自分の手で演奏するのはとても楽しいものですよ。
私たちが制作過程を楽しんだように、ケイトリンの新たなテーマを楽しんでいただければ幸いです。皆さんが『Arcane』でのケイトリンの冒険を体験する時が待ちきれません。そしてもちろん、ケイトリンのテーマの演奏もお待ちしています!皆さんを見つけることができるように、SNSで投稿する際は私たちをタグ付けしてください!