/dev: 名誉システムと行動システムのアップデート

名誉システムの変更や検出率の向上などについてお話しします。

対戦相手への名誉投票復活、複数人への投票、そして今後の計画について。

皆さんどうも、プレイヤー行動システムチームのRiot RevenancerとRiot Heronicです。今回は私たちが名誉/プレイヤー行動システムについてお話しします。


私たちは今シーズン、振る舞いの良いプレイヤーを奨励するべくLoLのプレイヤー行動システムにいくつかの改善を実施しました。これらの改善策は現在までのところ奏効しており、チームは今後もこの領域への取り組みを強化していきたいと考えています。そこで本稿では今年後半に予定されている変更についてお話ししましょう。

名誉システムのアップデート

2017年の名誉システム刷新で私たちが掲げた目標は「チームワークの重要さを強調するような良い振る舞いを奨励する」でしたが、とりわけ重視したのはチームワークの部分でした。そして現行のシステムではチームメンバーひとりを選んで名誉を投票できます…というか、それだけです。

しかしこのシステムでは「優れた振る舞い」に名誉を贈るよりも、「ゲームプレイ上での活躍」に名誉を贈ることが多くなっていました。もちろんそれ自体は良いことなのですが、このシステムが目指すのは「優れた振る舞いをするプレイヤー」を可視化することであり、試合数の多寡や活躍度ではありません。

また現行名誉システムの報酬は名誉感に欠けるところがあり、「振る舞いが悪いとシーズン報酬が獲得できない」という構造も私たちが目指すしくみではありませんでした。

そこで今回、私たちはシステムに変更を加えます。目指したのは、大活躍しただけのプレイヤーではなく「名誉に値する」プレイヤーを特定して報酬を贈る構造です。システム全体には長期的な変更計画を用意していますが、今年9月の第一弾では、まず1試合の名誉投票対象を複数名とし、さらに対戦相手にも投票できるようにします。

システム変更の詳細情報については、目処が立ちしだい改めてお知らせする予定です。

グリーフィング(嫌がらせ)検出の改善

ゲーム内での妨害行為関連ではこの他にも、これまで予防が困難だったグリーフィング(ゆるやかな利敵行為)にも取り組んでいます。LoLは複雑なゲームで、(多くの場合)他人同士のメンバーで構成されるチームの行動が勝敗を大きく左右します。これは本作の楽しさと競技性のカギである一方、傷つけ合うこと、そしてゲームプレイを通じて良くないリアクションをしてしまうことにもつながる要因です。

さて、具体的な内容についてお話しする前に、まず用語の定義を明確にしておきましょう。ここでのグリーフィングとは、「チームまたはチームメイトの活躍や勝利の確率を下げる意図を持って起こす行為」を意味します。

この「意図を持って」というところがポイントです。ツイてない試合は誰にでも起こるものですし、たとえばバードミッドのようなオフメタピックでもうまくいった実績のある戦略として出すならばグリーフィングではありません。しかし「どうでもいいからユーミミッド」というのはグリーフィングです。

チャットでの暴言、AFK、直接的なフィード行為のように明確な悪質行為はまだ対処しやすいものです。しかし現在のシステムでは、単にツイてないのか「全力を尽くしているように見せかけつつ意図的に手を抜いている」のかを判断する有効な手段がありません。もちろん、これについては解決に向けて取り組んでいます。

その最初の一歩として、今回は直接的な検出システムに変更を加え、明らかな悪質行為を捕捉していきます。これにより、たとえば試合時間20分でアイテムを売却してフェアリーチャームを複数買いする、アルティメットを無駄撃ちする、などの明らかな悪質行為が補足できるようになります。

次に複合データの活用を進め、すべての振る舞いを総合的に評価するようにしていきます。要するにアルティメットの初回無駄撃ち時に必ずアクションを起こすのではなく、他の要素も踏まえて評価するということです。この試合/別の試合で他に疑わしい振る舞いがなかったか?報告率はどうか?悪質行為の意図を示すチャットがなかったか?などがこれに当たります。

ちなみに現在の精度は70%前後であり、これは率直に言って許容できない数値だと考えます。しかし上記の変更を導入することで、精度は大幅に向上し(参考:絶対値では精度95%相当)、「ゆるやかな利敵行為」も捕捉できるようになるでしょう。

もちろんこのシステムも完璧にはなり得ません。自動化されたシステムが、人間が文脈情報に基づいて特定できるかどうかというレベルの振る舞いをすべて選り分けることは不可能だからです。それでも私たちは改善の手を緩めることなく全力を尽くし続けます。この手法の強みのひとつは、グリーフィング条件をひとつひとつ追加して改善を進めていけることでもありますから。

なお現在はテストの真っ最中で、すべてが正しく動作し、システムが無実のプレイヤーに影響を与えることなく悪質な振る舞いを正確に検出できるように開発を進めています。この工程にはしっかりと時間をかけて進める予定ですが、行動開始は間もなくですから、近いうちに続報をお届けできると思います。

では最後に…「悪質行為に対する補償」のデータは今年前半にも少し公開しましたが、今回は改めて最新の数値を紹介しましょう。

リリース以来、是正措置が取られた違反と補償の件数:

是正措置が取られた違反の数:

補償の提供件数:

使用した再抽選ポイントの返還

4,189,548

8,148,227

どこでもオプションの免除

8,777,680

31,792,790

LPの補填

105,723

374,302

XPブースト

441,968

520,142

合計

13,514,919

40,835,461


今後のアップデート

やるべき事はまだまだあります。私たちは今後も、LoLをより安全で楽しめる空間にする取り組み続けていきます。名誉システムとグリーフィング対応については、また後日報告をする予定ですのでお楽しみに!