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チャンピオンのビジュアルに異形よりも人型が多くなった理由。

こんにちは。最近いろいろな場所でプレイヤーの皆さんが、人型チャンピオンのリリースが増えてモンスター系チャンピオンが減ったというお話をしているのを見かけるようになりました。これはチャンピオンチームが意図的に方針転換した点なので、この場を借りてチーム内での議論を振り返り、方針転換に至った理由を説明したいと思います。

新しいゲームプレイ要素

まずは未だに新チャンピオンを作り続ける理由について。「これまでずっと作り続けてきたから」というのは回答として不十分ですからね。

私たちが新しいチャンピオンを作り続ける最大の理由は、習熟曲線に終わりがないことが「LoLの魔法」のひとつだと信じているからです。新しいことを学ぶのは楽しく、プレイヤーが遊び続ける動機となります。逆にゲームのすべてを学びきってしまったら、魅力は色あせはじめます。新規プレイヤーならば学ぶことや試すこともたくさんありますが、LoLには何年も──中にはローンチ当初から──遊び続けてくれているプレイヤーが何百万人と存在していますから。

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プレシーズンがゲームの大規模変更や改善ができる年に一度の大きな機会なら、新チャンピオンは高頻度・定期的に新しいゲームプレイ要素を追加する手段です。すべての新チャンピオンは新しいゲームプレイ要素を持っているため、使い方や対策を新しく学ぶ必要があります。私たちが新チャンピオンに必ず新しいプレイスタイルを持たせるようにしているのは主にこのためです(もちろん他にも理由はありますが)。

ただし、リリースした新チャンピオンがこの目標を達成するには、実際にピックされてプレイされる必要があります。全然プレイされなければ、新たに習得するゲームプレイ要素を増やすという目標が達成できません。もちろんこの目標は全チャンピオンにとって達成必須というわけではありません。めったに見かけないチャンピオンと対戦することになり想定外のことに振り回される、というのもLoLの楽しさのひとつですから。またニッチなチャンピオンには強烈に愛好する少数のプレイヤー層が付いています。幅広い層に訴求するタイプのチャンピオンには、こういったことはありません。

テーマこそが女王である

これらを踏まえ、私たちは2017年に「幅広い層に愛されるチャンピオンを多く作る」という明確な目標を立てました。この目標を立てる前には、幅広い層に愛されるチャンピオンと狭く深く愛されるチャンピオンを作り出す要因について、世界中のプレイヤーを対象とした徹底的な調査を行いました。その結果、広く愛されるチャンピオンの主要因のひとつとして「人間のチャンピオンは感情移入されやすく、魅力的だと評価されていた」ことが判明しました。もちろん、要因は他にも多数存在しています。たとえばチャンピオンが魅力的、ダーク、力強い、エッジィ、可愛い、オシャレ、技巧派などです。しかし一部の例外的なチャンピオン(カ=ジックスやユーミ)を除くと、幅広くプレイされているチャンピオンのほとんどはある程度まで人型です。人は人の姿をした存在に感情移入するということなのでしょう。世界中でフィクションの主要人物が人間なのも同様の理由によるのかもしれません。

「ビジュアルやテーマよりもゲームプレイが重要なんじゃないの?モンスター系チャンピオンでもスキルセットが良ければみんなプレイするよ」と思う人もいるでしょう。確かにこの意見はある程度正しいのですが、チャンピオンのプレイ率は実際の強さ、強いという印象、そしてテーマの好き嫌いによって決まっているというデータがあり、中でもテーマの影響はトップクラスであることが判明しています。

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その証拠のひとつは、一部チャンピオンの地域別プレイ率に見ることができます。地域によってチャンピオンのゲームプレイが変わることはありませんが、ジンクスは東洋よりも西洋(パンクロックというテーマとの親和性が高い地域)で人気が高くなっています。反面、シン・ジャオやジャーヴァンⅣは中国で特に人気があります。ヤスオは世界中で人気がありますが、東洋の地域では殊更に高い人気を誇ります。これらの例が示すとおり、チャンピオンの人気は地域によって異なり、相違点の多くには対象地域とチャンピオンテーマの親和性の関係が認められます。

また、調査ではアンケートの質問「このチャンピオンのテーマは好きか?」に対する評価の高さとチャンピオンの人気に密接な結び付きが確認できました。もちろん「チャンピオンのテーマは好きだがスキルセットが難解すぎるのでプレイしない」といった例外ケースもありました。そういった場合、幅広い層が魅力的と考えるテーマでもプレイ率が想定を大幅に下回ることになります。オレリオン・ソルはまさにそのケースで、テーマやビジュアルの評価はとても高いのに対し、ゲームプレイの評価は非常に低く、ドラゴンをテーマとしたチャンピオンであるにもかかわらずかなりニッチ寄りのチャンピオンとなっています。

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なお、ここでいうプレイ率はプレイヤーがチャンピオンを選択するすべてのPvPゲームモードを対象としています。当然ながらソロキューではランクが上がるほど(テーマではなく)チャンピオンの強さがピック率に影響するようになりますが、高MMR帯がLoLプレイヤー全体に占める割合は非常に小さなものです。ランクに関係なく「好きなチャンピオンがいる」ことがLoLをプレイし続ける主要因になるからこそ、私たちはチャンピオンの開発時にプレイヤー層全体を重要視します。

人類の勃興

さて、これで1)新チャンピオンを作り続けるのは「エンゲージメント(多くの人にとって遊び続ける魅力)」を提供するため(2)その「エンゲージメント」にはテーマが大きく作用するという点をお話しできました。続いては現状に至った経緯についてお話ししてみましょう。

2017年に戦略を少し変更したとき、私たちは「幅広い層とニッチ層の評価」に関する明確なフレームワークを立ち上げました。そして2018年、チャンピオンチームは「幅広い層に向けたチャンピオンを70%、ニッチ層に向けたチャンピオンを30%とする」戦略を正式に決定しました。なお、この内訳にはVGUも含めています。VGUでも新しいゲームプレイ要素が入ることが多く、エンゲージメントの向上にもつながるためです。

先ほど新チャンピオン開発時の主目標はエンゲージメントにあると述べました。仮に私たちがニッチなチャンピオンのVGUを1年に2回行い、さらに新チャンピオンの数体をニッチ層向けにした場合、総合的なエンゲージメントが大幅に上昇することはないでしょう。これが幅広い層に向けた新チャンピオンを作るようにシフトした最大の理由で、人型チャンピオンはその結果として増加したのです。方針変更が正式に開始されたのは2018年のことでした。

ただ最近は、人型チャンピオンを多数作り続ける理由がもう1つ増えています。この数年、チャンピオンチームでは「文化表現」を重要目標に掲げてきました。目標の趣旨は、世界中の様々な文化から着想を得たチャンピオンを増やすというものです。 もちろんルーンテラは地球ではありませんから、現実世界の地理を完璧に反映させることを目指すわけではありません。私たちが推進してきたのは、チャンピオン開発時にあらゆる地域の文化から着想を得るという方針です。LoLのチャンピオン開発も、すべてのプレイヤーが自己投影できる状態を目指すという方針の例外ではないのです。

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これはチャンピオンチームが熱い情熱を注ぐようになったポイントなので、最近(あるいは今後)のチャンピオンの姿からも感じられるのではないでしょうか。たとえばサミーラはペルシャ文化ヴィエゴはスペインのコンキスタドール時代の文化からそれぞれ着想を得ています。しかし、優れた文化表現を行おうとすると人型にする必要性が出てきます。少なくとも感情移入・自己投影できるレベルで人に近い姿でなくてはなりません。これが人型チャンピオンの増えたもうひとつの理由です。

さいごに

と、様々なポイントを説明してきましたが、私たちも ここ数年は典型的な人型に偏りすぎていたと考えています。 この数年、1年に1体の非人型チャンピオンを作ってきましたが、この分類カテゴリでは、ユーミのように完全に非人型のチャンピオン以外にも、人型に近いチャンピオン(ヨードルなど)や亜人チャンピオン(リリアなど)が含まれます。 このため今後はチャンピオンの分類カテゴリを2つ(ヒューマンとそれ以外)から3つ(ヒューマン、ヒューマノイド、クリーチャー)に変更することにしました。

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新カテゴリのヒューマンは人間と同じ、もしくは限りなく近い姿のチャンピオンを指します(ルシアン、セナ、ヨネ、パイク、ジンなど)。ヒューマノイドは半分が人間の体であるか、解剖学的に人間とかなり近いチャンピオンを指します(リリア、アーゴット、レネクトン、エイトロックス、ヨードルなど)。最後のクリーチャーは人間の特徴を一切持たないすべてのチャンピオンを指します(レク=サイ、ヴェル=コズ、ユーミ、オレリオン・ソル、スカーナーなど)。この分類は精密科学ではありませんが(ザックはヒューマノイドかクリーチャーか?)、大枠としてのカテゴリ分けには有効です。

カテゴリに「モンスター」がないのは、モンスターの定義が解剖学的要因よりも視覚的要因のほうが大きいためです。たとえば、エイトロックスやレネクトンはモンスター的ヒューマノイド、ユーミは非モンスター的クリーチャーとなります。

なおユーミ以来、クリーチャー型チャンピオンを久しく開発していないため、2022年にはクリーチャー型チャンピオンを1体リリースする予定です。ユーミは「可愛いクリーチャー型」チャンピオンが不足していたという理由に基づいて開発されたわけですが、次のクリーチャー型チャンピオンはもっとダークに仕上げるつもりです。クリーチャー型はかなりニッチであるため毎年作るというわけにはいきませんが、今後は非人形チャンピオンの数を増やしていきます。

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今回の記事が人型チャンピオンの増えた理由を少しでも説明できていれば幸いです…たとえ内容に同意いただけないとしても。モンスター系チャンピオンがお好きな方は、2022年リリース予定の(一部ヒューマノイド型を含む)新チャンピオン数体を気に入ってもらえるのではないかと思います。

最後に、長年にわたりチャンピオンチームを支えてくださる皆さんに、チームを代表して心から感謝します。いつもありがとうございます。