/dev:ティーモを偵察
皆さんどうも!ASUチームです。今回は皆から一番愛されている(あるいは憎まれている)ヨードル…ティーモのASU(アート&サステナビリティ・アップデート)の進捗をお届けします!
今回、この開発ブログでフォーカスを当てるのは、ティーモASUに携わる多種多様な職種の仕事内容です。ゲーム業界のアーティスト志望者、ティーモアンチ各位、そしてステルスキノコ植え職人の皆さんにもきっと楽しんでもらえると思います。
コンセプト
Megan “Ze Ocelot” O’Rourke - コンセプトアーティスト
ほつれた糸を繕い直して
ティーモがサモナーズリフトに恐怖を振りまき始めたのは2009年のこと。あれから15年のあいだに、私たちは多種多様なスタイルのティーモを送り出してきました。そして今回のアップデートでは──それが細かな調整であれ完全な作り直しであれ──彼を現在の品質基準に適うチャンピオンに生まれ変わらせることを目標としています。
リー・シンの時もそうだったのですが、ティーモは長い年月の間に多数のスキンを手に入れており、結果的に異なるシルエットがいくつも存在してしまっていました。特に顕著なのが帽子とバックパックでしょう。たとえば帽子は、スキンによってはかぶっていないものもあります。
一方でバックパックはしっぽになったり、丸ごと消えてしまったりしていました。今後のスキンではこの2つのデザイン要素を保っていく方針ですが、一方で既存スキンについては旧版の持つ特徴的な魅力も保持していきたいところでした。幸いなことに、ティーモの新リグ/アニメーションは表現力抜群なので、新ティーモはゲーム内でもかなり判別しやすいと思います。
スキンの中には微調整で済むものもありましたが、一方ではより大掛かりなビジュアル変更が必要になるものもありました。たとえば宇宙飛行士ティーモの場合は従来の宇宙服デザインを保ちつつも、他のチャンピオン向けの新しい宇宙飛行士スキンとの統一感も意識しています。とはいえ古いスキンの中には、ほとんどベーススキンの色違いのようなものもあったため、これらは完全に作り直す必要がありました。
ほがらかエルフ ティーモはそうしたスキンのひとつで、ホリデーシーズンに手を貸してくれるエルフというよりは、髪を染めただけのティーモでした。一方、ASU後のほがらかエルフ ティーモはきちんとおめかししていて、プレゼントも用意しています!今回のASUではこうした「色違い」の作り直しが特に楽しかったように思います。ティーモはそうした「色違い」スキンが多かったので、クラシックスキンの変身後の姿を皆さんに気に入ってもらえたら嬉しいです!
3Dアート
Jenna “jinyaoart” VanPelt - キャラクターアーティスト
すべてはベースの上に立つ
今回のティーモASUで3Dチームが掲げた目標は、新しいヨードルの身体構造/プロポーションを踏まえた上で、3Dモデルとテクスチャを現在のアート/技術水準レベルに引き上げることでした。そこで私たちはまずベースティーモに愛を注ぎます(ええ、ティーモにも愛される資格はあるんです)。まず顔と四肢のジオメトリ密度を上げ、まったく新しいヨードル偵察隊員らしさをアニメーションで表現できるようにしました。こちらは比較動画を用意したので、新旧ティーモの違いをご覧ください!
この笑顔、そしてこの腕の動き!
サステナビリティーの面でまず取り掛かったことは、新しいベースメッシュの作成でした。これが完成すると、ジオメトリやテクスチャを部分的に再利用できるようになり、スキン開発の効率化が楽になります。たとえばパンダスーツを着るスキンでもティーモの顔はティーモのままですよね。あるいはスキンのデザイン時に帽子を小さくしたり靴を脱がせたりする場合にも、正式な形状と大きさを視覚的に把握しながら作業できます。アナグマ、タヌキ、ちび悪魔…ティーモがどんなテーマで何になっても、彼らしさを維持できるわけです。
ヨードルの足の指は4本だってご存知でしたか?
スキンリワークのバランス
ティーモ3Dモデルのスキン開発とその関連作業では、単に素晴らしいモデルを作るだけではクリアできない、興味深い問いがひとつ生まれました。「これまで愛されてきた要素を保ちつつ現在の品質水準まで引き上げるにはどうすればよいか?」という問いです。いくつか例を見てみましょう。
ハチらしさとティーモらしさ。「ビィ」フォー&アフター
旧ビィーモの着ぐるみには可愛らしい顔がついていましたが、これは「頭は前方、目線は下にしか向けられない」という旧リグの特性を活かしたデザインでした。しかし新リグ&アニメーションが入った新ビィーモでは、ティーモと着ぐるみの両方の顔がしっかり見えなければなりません。
ディテールまで「ビィ」ュウティフルです。
通常、スプラッシュアートは3Dモデル完成後に作成されます。つまり普段のプロジェクトでは、スプラッシュアートに合わせて3Dモデルを変更することができません。しかし今回のアップデートでは素晴らしいスプラッシュアートが存在していたため、3Dモデルチームは「スプラッシュアーティストの元々のビジョン」を具現化し、磨き上げる機会を得られました。
クルーとお揃いの衣装でパシャリ(ミィプも)。
宇宙飛行士ティーモの制作では、後から加わった他の宇宙飛行士たちとの間でモデルの統一感を意識し、宇宙飛行士テーマの最新・最高スキンを目指しました。
天にも昇る気持ちだったはずのティーモ。
また宇宙飛行士ティーモのASUでは、旧リコールが非常にシンプルだったことと、旧スプラッシュアートが宇宙へ行ったことに注目。新バージョンではこの2つを組み合わせて象徴的だった旧スプラッシュアートへのオマージュとし、リコールにちょっとしたイースターエッグを追加しています。
テクニカルアート
David “Riot Duncnasty”Jeka、Izzy Cheng-Henehan、Rhoam "KingRhoam" Johnson
ティーモの「スケルトン」について話そう
ティーモの旧スケルトンは、口語的に言えば「やばいカオス」であり、普通に言えばうず高く積み上げられた「技術的負債」でした。このためティーモASUにおける私たちのチームは、特にS(サステナビリティー、つまり長期的に活用できること)の部分に注力しました。
そこで私たちはまずベーススケルトンを可能な限りモジュール化し、スキンスケルトンはそれに「合理性を確認した上で」追加、作成していきました。たとえば悪魔ティーモの場合、悪魔の顔部分のスケルトンが過度に複雑になるのは回避しなければいけない、といった具合です。またベーススケルトンのアニメーションは他の全スキンでも使えるように意識したため、たとえばベーススキンの長い耳やしっぽは、もこもこしっぽや精霊の花祭りティーモスキンでも使用可能です。すべてのスキンで最大限の特別感を目指しつつ、今後作られるティーモスキンにも配慮したのです。
せっかくやるなら、サモナーズリフトの悪夢になるだけでなく、悪夢であり続けることを目指したいですからね。いえいえ、礼にはおよびません!
恐怖に顔を与える
本プロジェクトの主目標のひとつに、ティーモの「やんちゃなヨードル」というイメージをできる限りキープするというものがありました。そしてティーモの顔には個性を表現する余地が非常に多く残されていると感じたため、フェイスリグの開発ではあえて長い時間をかけて多様な表情を作れるように作り込んでいます。そしてコンセプトアート制作モデリング、アニメーション、リギングという各工程の間で、チームは簡易素材を用いたリグの小規模テストを実施し、目指す表情の幅を実現できるかリグを伸び縮みさせながら検証していきました。
ティーモはかなり誇張されたキャラクターですが、ゲーム内では「等身大の彼らしさ」も表現できてなければいけないので、チームは各要素のプロポーションをいじり続けて理解を深めていきました。頭、腕、足、胴体、バックパックについては特に注意深く調整を重ね、可愛さと視認性を両立させるよう努めています。
また各スキルのやや大げさなアニメーションも残したいと考えていたので、ゲームプレイの視認性ニーズに応じて顔、頭、四肢は拡大・縮小できるようにもしてあります。
その後はアニメーターがベースティーモ用に素晴らしい新アニメーションを作り、その多くが他のスキンにも継承されましたが、リコールのアニメーションについては慎重に「リターゲット」(ここでは旧リグのアニメーションのデータをコピーすること)しています。これはアニメーターの作業時間を短縮するための措置であり、またアニメーションキットの他の部分に熱量を集中できるようにするための措置でもありました。
アニメーション
Sean “Riot Redepoka” Yeung & Einar “Riot Beinhar” Langfjord - アニメーションアーティスト
そして彼は身体を揺らし歩いていった
アニメーション製作は、モデル製作/リグ製作の担当メンバーと「キャラクターリグ上で想定している振る舞いの幅」についてコンセンサスを構築することから始まります。特に今回のティーモASUでは、初期のディスカッションでフェイシャルリグと個性の出し方についてかなり長い時間を割きました。
一見とてもシンプルな課題に見えますが、ティーモにはぱっちりと開いた目がないため、顔の他の要素を用いて感情や思考を表現しなくてはならないのです。このため初期段階ではコンセプトアーティストの協力のもと、ティーモのフェイシャルリグで出せる「表情の幅」をひたすらテストしていきました。
初期モデル(いわゆるプロクシモデル)。ティーモのフェイシャルが確定するまではこちらを使用していました。
通常であれば旧バージョンのアセットを積極的に用いて、そこにひねりを加えていくのですが、ティーモのアニメーションライブラリはとても限られていました。基本的に頭が常時すべてを覆い隠していたので、ごく少数のアニメーションだけで工夫されていたのです。
しかしそんなティーモのアニメーションの中にも、ひとつどうしても受け継ぎたい要素がありました。身体を左右に振って歩く、あの象徴的な歩行アニメーションです。移動速度が上がるほどにヒョコヒョコ感の高まるあの歩き方には、どこか楽しげな(あるいは敵の怒りをかき立てる)雰囲気があります。チームではこの特徴的なモーションを視認性の柱に据えたいと考えていたため、ティーモの走りアニメーションは見慣れた感覚を残しつつ、新しい魅力を付け足すように尽力しました。
またASUではナラティブチームとも連携し、小っちゃくて気楽な探検家というアイデンティティーの強化にも取り組んでいます。現在サモナーズリフトに登場するキャラクターの多くは戦闘準備万全といったビジュアルをしていますが、ティーモのアニメーションでは無垢ながらも熱意に満ちた探検家というイメージを強く意識しました。秘密を解き明かすべく世界を旅しているけれど、いつも意図せず大騒乱を引き起こしてしまう…そんな感じです。新ティーモの動きは以前よりも俊敏・有能そうな印象を与えますが、トラブルを巻き起こすおっちょこちょいな部分もしっかりと残すように意識しています。
ティーモのもうひとつの象徴的要素といえば少し時間が経つとステルス状態になる点ですが、ステルス状態ではエモート動作(ダンスや挑発など)が見えにくくなるという課題がありました。このため新バージョンでは、各種エモート動作を短くメリハリのある高速なものにしています。新ティーモはハーモニカも入手しているのでお楽しみに!まだ演奏はヘタですが、上達できるように私たちも支援していくつもりです!
ティーモのリコールでは、ヨードルの魔法のしくみを表現しようとしていました。ティーモがポータルを開いてルーンテラ中を旅するには、ヨードル偵察隊員の能力を使って正確な位置情報を入手しなければなりません。このため新ティーモのアニメーションでは彼が常に旅の途中で、新たな冒険の舞台を視察し続けている点を特に強調しています。
ビジュアルエフェクト
Yuchen “Riot Applesoda” Lin - VFXアーティスト
ちいさなキノコたち
続いてはビジュアルエフェクト(VFX)の時間です!おそらく皆さん勘付かれている頃だと思いますが、旧ティーモのVFXはかなり時代遅れだったため、現在の品質水準まで引き上げることと、ゲームプレイの視認性を改善することはASUの絶対要件でした。
そこで私たちはまずゲームプレイの視認性に注力しました。そのひとつがQとEの区別で、それぞれが何を撃っているのか理解できるようにしています。新VFXではQ(紫)と(毒の色として緑)Eが完全に違う色になっています。
またティーモのヨードルらしさを際立たせるため、バンドルシティ的な雰囲気も強化。魔法らしいキラキラや図形を追加しています。また注意して見てみると、リコール時にはティーモをバンドルシティに帰還させる魔法のルーンが登場しています!
最初に宇宙飛行士スキンを獲得したチャンピオンはティーモでしたが、あれから数体の宇宙飛行士が新たに登場し、今では逆に旧スキンが「浮いた」ビジュアルになってしまっていました。というわけで、今回のASUでは各スキルのVFXを他の宇宙飛行士たちと遜色ないレベルに改修しています。
またスキンテーマの宇宙的な雰囲気を強調するため、可愛い異星人ミィプなども追加されています。
今回のASUでは、もこもこしっぽティーモやスーパー ティーモといったエピック未満のスキンにも改修を実施しています。通常のスキンアップデートではこの種のスキンのVFX全面改修はできないのですが、ティーモは年代物のスキンも多かったので、今回のASUではがんばって対応することにしました。
そして忘れてはならないのが…キノコですよね。今回のASUでは特にキノコに愛を注ぎ、設置~有効化を示すVFXを各スキンに用意。いつ有効になるのかを分かりやすくし、ゲームプレイの視認性を高めました。またキノコ自体にも小さなキラキラや、隣に立っている時のインタラクションも追加してあるので、今後は誰かが踏むのを待つ間もキノコを眺めて楽しめます。ティーモをバンしなかったことを敵チームに後悔させてやりましょう!
オーディオ
Andrew “Dream Theater” Grabowska - サウンドデザイナー
未来のティーモたちにポータルを開く
「サステナブルなオーディオ」を作るには、まずサウンドエフェクト(SFX)自体と接続構造が今後制作されるスキンに容易に継承/再設計できるという条件をクリアし、その上でサウンドの一貫性・ゲームプレイ安定性も維持できなければなりません。ベーススキンのSFXは、今後のスキンデザイン/案を制約するものであってはならず、しかし他のスキンの参考元として機能するだけの明確な方向性と強固な基礎を示すものでなければなりません。
ティーモの一部スキンは、いくつかの点でベーススキンから逸脱しています。最大の違いは固有スキルのステルスにまつわるものです。というのも、一部のスキンにだけ固有のSFXが製作されているのです。それ以外の点では通常攻撃とE攻撃があるでしょう。ベーススキンのティーモはそれぞれ別のSFXが使われていますが、一部のスキンではこの2つに同じSFXが使われているのです。また多くのスキンのSFXはベーススキンのものを一部流用、あるいはテーマに応じてエフェクトをかけて使用していますが、この基準が統一されておらず不明瞭であるのも問題です。
さらに、一部のSFXはスキンのクリエイティブデザインを抑制するような実装がされています。たとえばティーモがキノコを投げた時のシュッという音もそれで、この音はキノコが弾んだ時にも、さらに…着地した時にも再生されます。え、着地時に?なぜ?今回私たちのチームが解決を目指したのは、こういった種類の課題でした。このためASU後のティーモは、すべてのスキンでステルス発動/解除時のSFXが再生されるようになっています。やったね!
さらに今回のプロジェクトでは、ティーモのサウンド実装全体を現在の品質水準まで引き上げるという命題もありました。これには各種名称を標準化する、網羅的・明瞭なドキュメントを制作する、ティーモの各SFXが正しいタイミングで正しい位置またはキャラクターから再生されるように徹底する、ステルス中/戦場の霧内でのサウンド挙動を全プレイヤーの視点でテストする、そして「ティーモのキノコが跳ねるとき、その音はキノコ自体からするべきか、あるいはキノコが触れた対象からするべきか」といった重い哲学的疑問を投げかけることなどが含まれます。
バンドル偵察隊員のサウンドを作る
ティーモプレイヤーがティーモを選ぶ理由は、彼のジョーク、挑発、ダンスアクションが最高だからだというのは周知の事実です。披露した直後にステルスに入ってしまうのは玉にキズでしたけれども…。しかし今回のASUでティーモは新たなアニメーションとSFXを獲得しています!しかもビッグニュースの本命はここからです。なんと新アニメーションは連打を想定したデザインになっています。新しいジョークと挑発は複数のバリエーションがあり、プレイヤーが連打してもSFXは滑らかに再生されます。敵やフレンドを過剰に苛立たせないとよいのですが…まあ、皆そろそろあの笑い声を聞いても何も感じなくなっていますよねンハハハハ。そしてダンスでは、ティーモが自慢のハーモニカでさまざまなコードを演奏します!うまく吹けているコードもあれば怪しいコードもありますが、でも音楽を学んだ人なら一度は先生から言われますよね、ほら、「速弾きはいつだって上手に聞こえる」でしたっけ?
ティーモのスキルセットSFXを製作する上では、彼が元々持っていた音響的特徴はそのままに、ふさわしいと判断した箇所にはヨードルの魔法っぽさを取り入れ、さらに彼の個性である吹き矢、煙たげなステルス、したたる毒、そしてよく跳ねるキノコの表現は表現方法を掘り下げました。
特にティーモの魔法表現については、彼以外が使うバンドルシティの魔法との整合性にも注意し、LoLだけでなくルーンテラを舞台とした各タイトルやシネマティックなどもチェックしました。ユーミのキラキラと渦を巻くような魔法、跳ねるキノコ、そしてLoR(レジェンド・オブ・ルーンテラ)のヨードルポータルの音を聴き比べると分かりやすいかもしれません。この種のSFXはスキルセット全体に散りばめられていますが、特に目立つのはティーモのWとリコールでしょう。
そしてWの話題に触れるならば、新しい足音サウンドに触れないわけにはいきません!はい、ついに「恐怖」の近づいてくる音が聞こえるようになったんです。「駆け足!」の効果時間中はティーモの足音に要注意です!WのSFXはリー・シンのEと同様に地面の素材ごとに変化するので、たとえばリバーであればティーモが水を跳ね上げる音が聞こえます。耳の良い人であれば、挑発アニメーション時に吹き矢の筒を叩きつける時の音の違いも聞き取れるでしょう。
ティーモの毒とキノコのSFXでは、耳慣れして単調なノイズに聞こえないよう、よりダイナミックで生き生きとした音を目指しました。毒の音は経時変化する酸焼けのジューという音と、ねっとりとした泡のボコボコという音が組み合わされており、常に動きと個性が感じられるようになっています。一方でキノコのほうは従来よりもさらに湿っぽくプニプニで弾力性に富んだ音にしました。ティーモのQ発射音にはタピオカティーのストローからタピオカを吹き出した音も取り入れており、これが彼の陽気で朗らかな雰囲気の表現に一役買っています。そしてQの命中時にはブラインドを受けたターゲット側ではステレオ音声でジューという音が流れ、さらに音楽やその他のサウンドの音量が一時的に下がり、能力を阻害する毒を受けたことを表現しました。この他にはキノコのダメージ発生中にジューという音が持続的に鳴るように変更した上で、体力低下に伴ってその音量がわずかに大きくなるようにしてあります。低体力でティーモのキノコを踏んだだけでも高ストレスなのに、サウンドまでダメ押ししてくるわけです。
ティーモのSFXには長きにわたりファンに親しまれ愛されてきた個性があるので、今回のASUではそうした魅力を保ちながら磨き上げ、さらにルーンテラという世界における説得力を突き詰めることを目指しました。
技術オペレーション
Matthew “spooty” Becker - ソフトウェアエンジニア
完全に公平なエンジニアの見解
ティーモはLoL最高のチャンピオンです。いや、「バンドル偵察隊の掟」を書いたのは僕じゃないですよ。僕はただ掟に従っているだけの者です(同意してくれなくても大丈夫、誰にだって間違える権利はあるのですから😏)。だからこそ今回、バンドルシティの陽気者はショーの主役にふさわしいASUを受けることになったわけですね。さて僕たち技術オペレーションチームは通常、ASUプロジェクトのS(サステナビリティー)部分に注力します。長い歴史の中で堆積したレガシーコードを一掃し、アーティストとゲームデザイナーのスキン製作工程を可能な限り容易にすることで、アップデート対象の過去スキンと今後制作する新スキンの両方でそれぞれのビジョンを実現する支援をするわけです。本項では、ティーモASUでクリーンアップしたスクリプトとデータについて紹介し、ASU後にあなた(これを読んでいるということは必然的にティーモ愛好家でしょう)が見ることになるであろう内容について触れていきたいと思います。
ティーモの後片付け
リリース以来長い年月を過ごしてきたティーモのスクリプトには、当然ながら「掃除の余地」がたくさんありました。当然ながらASUの目標はチャンピオンの挙動を変えることではなく、現在のベストプラクティスに沿った状態にアップデートすることです。このため、スクリプトをアップデートする際にはまずふたつの質問に答えを出す必要がありました。すなわち、(1)そのスクリプトの目的は何か?そして(2)それは今でも求める結果を実現するための最善手か?です。
最初の問いは簡単そうに見えます。ティーモのスキルセットはそれほど複雑ではないし、スクリプトも読めば分かりそうなもの…だと思いますよね?実際そうあるべきなのですが、現実はそうではありませんでした。スキン固有のロジックがベーススクリプトに突然紛れ込んでいたり、ほぼ重複する挙動のスクリプトが複数スキルの複数領域に隠れていたり、スキル関連の数値が邪悪にもハードコードされていたり(「Bounce Distance 3/4/5」ってなんだ!?🤔)、ティーモのスクリプトは大清掃を必要としていたのです。でもご安心ください、大掃除は無事に完了しています。我らがバンドル偵察隊員はピッカピカの最新スクリプトを装着し、いつでも冒険に出られる状態です!
2問目の答えは、おそらくプレイヤーの皆さんが実際に目にすれば本当に一目瞭然です。ティーモのリリース以来、LoL開発チームはコンテンツ制作パイプラインに凄まじい数の改善を重ね、アーティストとゲームデザイナーが対象チャンピオン/スキンに込めたビジョンを実現するための技術的制約を減らし続けてきています。私たちのチームは今回のASUを通じ、ティーモのセットアップを「データ駆動」モデルに最大限近づけ、新スキンを「作りやすい」チャンピオンにするべく取り組み続けました。その成果はきっと実際に見てもらうのが一番でしょう。この点においてアーティストの皆は本当に素晴らしい仕事をしてくれました。
ナラティブ
River “Riot TenPaces” Jaffe - ナラティブライタ
改めて明確にしておくと、ティーモはLoLでも有数の愛され(憎まれ)キャラクターで、だからこそ私たちはティーモを変えすぎないようにしたいと考えていました。このため本プロジェクトにおける私の仕事はほとんど「過去のライアターたちが積み重ねてきたもの」をスタイル・正史の観点から整えることでした。たとえば今回のASUプロジェクトではLoRの「バンドルウッドの向こう」や「ヨードルに気をつけろ」シネマティックを重要な参考資料とし、繰り返し確認しています。またIPチームとも連携し、私たちがインスピレーションの源とした資料が正史全体で見た時に彼らしさの確立に寄与しているかもよく確認しました。
オリジナル版ティーモのナラティブでは、バンドル偵察隊が軍組織であることを示唆するような箇所がありましたが、最近はスカウト組織(青少年がアウトドアスキルを学び、一緒にキャンプし、おいしいクッキーを販売したりする)に近い団体として描かれています。そこで私たちは今回、バンドル偵察隊をそうしたスカウト団体として明確に正史化し、オメガ小隊ティーモ誕生の源となった軍隊的な印象からはっきりと距離を取ることにしました。最新のティーモはスカウト隊のリーダーのような存在です。これを明確にすることにより、ルーンテラでの彼の立ち位置もずっとはっきりするでしょう。
ティーモをプレイする上では、(生来のグローバルタウント効果は置いておくとして)彼が愛すべきトロールであるという点が重要です。だからこそティーモは今も変わらず陽気なイタズラ好きとして描かれているわけですが、しかし彼が人々の心を乱す最大の理由は、自分がカオスを引き起こしている自覚が本人にまるで無いところでしょう。ベイガーができるだけ邪悪になろうとして意外とうまくやれてしまうのとは対称的に、ティーモは良いこと・人助けをしているつもりで自分の引き起こした混乱にまるで気づいていないのです。ここはセリフを書く上で非常に面白い点でした。ティーモにとってはまったく悪意のないセリフでも、聞く者にはまったく別の意味として伝わり、愉快でありながらも恐ろしい印象を与えるのです。
最後のお知らせ
ティーモのASUでも過去のASUと同様に、品質水準が大幅に上昇した一部スキンの価格改定を実施予定です。具体的には、ライブサーバー実装と同時にほがらかエルフ、偵察兵、アナグマの各スキンの価格を750 RPに引き上げます。リー・シンの時と同様、これらのスキンはリリースまで520 RPで購入可能で(未所持の場合)、ASUのスキンアップデートも無料で入手できます。
ティーモASUのPBE実装は9月24日、正式リリースは10月9日のパッチ14.20を予定しています。それでは偵察隊員の皆さん、グッドラック!