/dev:スキンの現状
皆さん、こんにちは!SuperCakesが「チャンピオンスキンの素晴らしき世界」の現状報告を行います。これまでにも特定のスキンについての投稿は行ってきましたが、今回は私たちの製品の現状や、私たちがどんなスキンを作るかをどのように決定するのか詳しくお話ししようと思います。
今年は記事の投稿数でREAV3を追い越そうと思っていますので、このような話をもっと聞いてみたいと思う方は、ぜひともお知らせください。定期的に投稿できるようにしたいと思います。
まず最初に、皆さんに知っておいて欲しいことがあります。私たちがどんなスキンを作成するか判断するためにチームミーティングをする際には、プレイヤーの皆さんも一緒にミーティングルームにいるんです。私たちは常に皆さんの意見を参考にしています。時間をかけて皆さんからのフィードバックに耳を傾け、皆さんが共感できるものやそうでないものを理解するように心がけています。私たちの判断が間違っていると感じた時は、ぜひお知らせください(もちろん、間違わない方がいいのは当然ですが)。
まずは、よくある質問からお答えしましょう…
どんなスキンを作成するかを決める判断基準は?
Ask Riotで一番多く聞かれる質問が、どうやって作成するスキンを決めているかです。決定のプロセスはシンプルであると同時に、複雑でもあります。…かなり意味不明ですよね。ですので、以下で詳しく説明します。
まずは、私たちが判断の際に考慮することを記します。
- <ここにチャンピオン名を挿入>に適用できるテーマがあるとしたら、それは何か?
- 自分たちが情熱を持って作成できるテーマは何か?そのテーマがふさわしいのはどのチャンピオンか?
- 今年はいくつのスキンを作成できるか?
- プレイヤーが求めているものは何か?
- そのチャンピオンは前回スキンがリリースされてからどれくらいの期間が経過しているか?
- プレイヤーを驚かせることができるものは何か?
- リスクがあっても冒険できる点はどこか?
- そのチャンピオンは近いうちにアップデートされる予定か?
- 世界的に魅力的だと感じられるスキンを作成できるか?
- そのチャンピオンを現在使用しているプレイヤーはどれくらいいるか?
- プレイヤーが共感できるテーマとは何か?
特定のチャンピオンに他よりも多くスキンがリリースされている理由は?
これは難しい質問です…1年間に作成できるスキンの数は限られていますが、チャンピオンが廃止されることはないので、その数は増え続ける一方です。したがって、判断の際にチャンピオンの人気が考慮されているのは間違いありません。多くのプレイヤーが使用しているチャンピオンがいるなら、私たちはそのチャンピオンの新たな楽しみ方を提供したいと考えます。そのチャンピオンの使用率が非常に低い場合は……悩ましいのはそういう時です。
私たちは長らくスキンがリリースされていないチャンピオンのことをいつも気にかけています。スキンの計画を話し合う時は、それらのチャンピオンが必ず話題にのぼります。
これまで、そういったチャンピオンには小規模なスキン(750 RPの)で対処しようとしてきました。モデルとテクスチャを変更するだけなら、1年間に作成できるスキンの数を増やすことができ、結果としてそのようなチャンピオンにリリースするスキンの数も増やせます。
しかし、モデルとテクスチャを変更するだけでは、提供できる新たなテーマの可能性は非常に限定されてしまいます。それに、そのテーマがチャンピオンのベースとなるアニメーションやビジュアルエフェクト、オーディオなどに完璧に合うものでなければ、スキンは魅力のないものになってしまいます。時には上手くいくこともありますが(そのような可能性を今後も狙っていくつもりではありますが)、多くの場合、このような選択を行うと、プレイヤーの満足度は下がる傾向にあります。プレイヤーは自分が使用するチャンピオンに対して質の高い体験を求めています。モデルとテクスチャを入れ替えただけでは品質として十分でないと捉えられてしまい、そのチャンピオンを愛するプレイヤーは、自分の存在が軽んじられているように感じてしまいます。それではいけません。
代表的な例はザイラです。彼女には長らくスキンをリリースしていなかったので、開発チームはぜひとも彼女にスキンを出したいと思っていました。過去2年間の彼女の使用率は非常に低かったものの、ザイラを使用するプレイヤーは彼女の熱心なファンばかりで、誰もが新コンテンツに飢えていました。さらに彼女には多彩なグラフィック的要素が存在するので、スキンの作成が難しいチャンピオンでもありました。パーティクルエフェクトやアニメーション、オーディオには手を触れずに、ザイラに新たな世界をもたらすことができるのか?残念ながら、答えはノーです。
結局、彼女には一切スキンをリリースしないか、もしくはすべてを変更した新たなスキンをリリースするかのどちらかを選択する必要がありました。そして、今年リリースした龍の魔女スキンで私たちが選択したのは後者でした。私たちは考えました——たとえ、そのコンテンツが少数のプレイヤーの手にしか届かないとしても、自分のチャンピオンに新コンテンツが登場したことを彼らがとても喜んでくれるのならば、私たちは可能な限り最高のスキンを彼らに提供すべきだと。
今年はずっと聞こえ続けてきた皆さんの声にお応えするつもりであり、今後12ヶ月以内にカシオペア、ビクター、ヨリック、イラオイにスキンをリリースする予定です(さらに他にも)。皆さんがこのリストに追加したいと思うチャンピオンが他にもいるのは理解しています。それらのチャンピオンもいずれきっとリストに加わることになるでしょう。
チャンピオンやテーマの整合性
私たちは、「特定のテーマに合うチャンピオンが誰なのか」ということをいつも考えています。たとえば今年はブラッドムーンスキンを登場させたいと考えていました。最初にテーマが決定したら、そのテーマが持つ世界観にフィットするチャンピオンは誰なのかについて話し合います。たいていは私たちが作成できる数以上のチャンピオンたちが候補に挙がるので、そのリストを残しておいて、次回にそのテーマを扱う時に再検討することになります。
特に悩むことなくテーマやチャンピオンが決まることもありますが、もちろんすべてのテーマがあらゆるチャンピオンにあてはまるわけではありません。チャンピオンのスキル、複雑さ、個性など、誰もが何らかの理由があってそのチャンピオンを使用しています。私たちは、プレイヤーがそのチャンピオンをプレイする理由となっている「何か」に敬意を示して、それを強調できるようなスキンをリリースしたいと思っています。私たちが上手くやれたなら(例えば、スターガーディアンラックス)、皆さんからの反応は非常に好意的なものになります。しかし、上手くやれなかったなら(例えば、ヴォイドの遣いイラオイ)、その結果は推して知るべしです。
時にはチャンピオンがテーマに合っているかどうかでチーム内の意見が分かれる場合もあります。年末にリリースを予定している現在開発中のスキンは、チーム内で意見が分かれました。それがどんぴしゃりだと考える者、必ずしも合っているとは言えないがリスクを取る価値はあると考える者、そしてまるで合っていないと考える者がいました。結局のところ、皆さんが気に入って使ってくれるか、それとも気に入らず相手にされないかが問題になるわけですが、もし私たちがリスクを取らなければ、永遠にそれを知ることはできません。私たちの判断が正しかったのかどうかは、皆さんが教えてくれます。良くも悪くも、私たちはそこから何かを学ぶことになり、将来の判断に活かします。
大きなテーマのセット
昨年、私たちは一つのテーマに合わせたスキンをセットでリリースする頻度を上げました(複数のチャンピオンに同じテーマを持つスキンを同時にリリース。開発チーム内では“セマティック(thematic。テーマ、主題)”と呼んでいます)。すべてのスキン開発チームが一緒に同じテーマのスキンを開発すると、チーム間に不思議な相乗効果が生まれます。PROJECTやスターガーディアンはその好例です。一つのスキンだけに集中するのではなく、プレイヤーによりスケールの大きな体験を提供しようと奮闘することで、チームは大きな活力を得るのです。今後はこのようなプロセスを拡大していきたいと思っています。
ローンチ時のスキン
私たちのチームは、新チャンピオンのリリースと同時にリリースされるスキンの開発も担当しています。これらのスキンの作成には、既存チャンピオンのスキン開発とは異なる独特な困難が付きまといます。スキンの開発中、私たちはそのチャンピオンのことを知っています。ですが、プレイヤーがそのチャンピオンのどこを気に入ることになるのかがその時点ではわからないので、チャンピオンに合ったテーマを選択することの重要性が増します。チャンピオン開発チームと緊密に連絡を取り合い、そのチャンピオンが持つスタイルや個性にふさわしいテーマを選択するように心がけています。これに関しても、私たちは正しい選択ができるように努力していますが(例えば、ザヤ&ラカン)、時には上手くいかないこともあります(例えば、またもイラオイ)。
チャンピオンアップデート
スキンを作成するチャンピオンを決定する際には、その年に行われるチャンピオンアップデートのリストも考慮に入れる必要があります。私たちはチャンピオンアップデートチームと話し合い、現在アップデート作業中のチャンピオンや、今後アップデート作業が行われる予定のチャンピオンにはスキンを作成しないと決めています。アップデートがリリースされる直前にアーゴットのスキンを作成すれば、アップデートチームが作業すべきスキンの数が増えることになります。チャンピオンのアップデートが完了してビジュアルが更新されることによって以前よりも質の高いスキンを開発できるようになるので、作業がやりやすくなります。メカゼロサイオンやスターガーディアンポッピーで高い品質を実現できたのは、事前にチャンピオンのアップデートが行われていたからこそなのです。
単独スキン
大きなセットの一部ではなく、単独でリリースされるスキンも存在します。昨年はこのようなスキンが手薄になり、大きなテーマのスキンに集中していましたが、それによってどのテーマにもあてはまらずに取り残されてしまうチャンピオンが存在することがわかりました。これではいけません。今年は、大きなテーマとは別に単独でリリースするスキンの数を増やすつもりです。今年リリースされたドレッドノヴァガングプランク、フェスティバルクイーンアニビア、神の拳リー・シンがその例ですが、今後もこのタイプのスキンをリリースしていく予定です。
品質
最近、スキンの品質について何度か皆さんにお伝えする機会がありました。リーグ・オブ・レジェンドは基本プレイ無料なので、お金を出して購入するアイテムは素晴らしいものでなければいけません。私たちはこの責任を重く受け止め、非常に高い品質基準を設定しています。
私たちは、「プレイヤーが気に入らなければ、買わないだけだよ」と軽々しく言うことはできません。スキンは購入したプレイヤーだけが限定的に使用するものではありません。あらゆるスキンが何らかの形でゲームに影響を及ぼすことになります。たとえ自分がスキンを買わなくても、他の誰かが購入して使用しているのをゲーム内で目にすることになります。
通常、このような判断はスキンがPBEにリリースされる前に行われます。それが最善の状況だと考えています。その時点でキャンセルすれば、私たちが十分に満足していないものにプレイヤーが期待を募らせてしまうこともないので、誰も不満を感じずに済みます。しかし、ときにはツギハギ人形シリーズのように、私たちが判断を下す前にPBEにリリースされてしまうこともあります。この場合、皆さんからの反応は私たちが想像した通りのものになります。それを楽しみにしていたプレイヤーがいるのは有難いことでしたが、これらのスキンは十分な出来ではありませんでした。取り下げるときは辛い思いでしたが、残念ながら私たちが設けた品質基準を満たしていなかったので、責任を持って決定を下しました。
それはさておき…パグ=マウの話をしましょう。このスキンは大きな論争を呼びました。パグ=マウに関しては、スキン開発チーム内で意見が分かれただけでなく、LoLの開発チーム全体でも意見が分かれました。当初は誰もがこのアイデアを歓迎しました。しかし開発を続けるうちに、意見が大きく分かれ始めました。ゲームプレイの明確さに関して、このスキンは非常にまずい状態になっていったのです。PBEでリリースされた時には、私たちはすでに、修正するかキャンセルするかについて話し合っていました。
多くのプレイヤーの意見は、この犬は「退場やむなし」というものでした。しかし、この意見がすべてだったわけではなく、実のところ、私たちと同様にプレイヤーの間でも意見が大きく分かれていました。担当したチームは成功のチャンスがあると考え、問題を修正して、人々の考えを変えられるか見てみようと決めました。私はパグ=マウをリリースすると決断して良かったと思っています。結果としてそれは非常に人気の高いスキンとなり、私たちが行った変更に対するプレイヤー(ならびにライアター)の反応も上々でした。
スキンのアップデート
この記事が掲載される頃には、パルスファイアエズリアルがアップデートされることが発表されているはずです。パルスファイアエズリアルについては昨年末のAsk Riotの回答で触れましたが、もう一度見直してみましょう。
私たちはパルスファイアシリーズを復活させたいと思っていて、このテーマにはケイトリンがぴったりだと考えました。そして、この機会にプレイヤーが以前から求めていたパルスファイアエズリアルのアップデートを行おうと思いました。しかし、DJソナやエレメンタリストラックス並のクオリティにすることができないことは最初からわかっていました。アルティメットスキンの開発には多くのリソースが必要となるので、それを行えば一年間にリリースできるスキンの数が減ってしまいます。そこで、スキンの見た目や感触をアップデートして、できる範囲で改善を行うことを決めました。 ただし、スキンアップデートを頻繁に行うことはないと思います。基本的には、スキンアップデートはチャンピ
オンアップデートチームがビジュアルアップデートを行う際に一緒に行うべきものです。ただし、それにふさわしい機会があるなら、今後もスキンアップデートを行う可能性は否定しません。
終わりに…
今回はこれで終わりです。ライアターとして、またプレイヤーとして、開発チーム内を歩き回り、私たちが行っている様々なスキンの開発作業を目にするたびに、私の期待はどんどん膨れ上がっていきます。今年リリースを予定しているスキンを皆さんにお披露目する時が来るのが待ちきれません。 今後もお楽しみに!