Quick Gameplay Thoughts 2月25日:逆転のメカニズム

今回は賞金について。逆転のメカニズムが存在する理由と、デザインするためのアプローチについてお話しします。

皆さん、こんにちは。Riot Phroxzonです。「逆転」は、LoLの歴史の中でも長い間、熱い議論の的でした。「オブジェクト賞金」システムが追加された今、逆転をデザインするためのアプローチについてお話しするよい機会が来たようです。


逆転のメカニズムは、なぜ存在するのでしょうか?

逆転のメカニズムは、負けているチームがゲームに復帰するための、達成できるけれども難しい道筋を示しています。正しく調整されていれば、スノーボールのバランスを取る助けになりますが、それは針の穴を通すような精度です。どちらかの状態に偏りすぎると、試合序盤の有利が重要にならなくなったり(逆転のメカニズムが強力すぎる)、逆転が全く起こらなかったりしてしまいます(スノーボールのメカニズムが強すぎる)。後者の場合はスケーリング構成が弱く感じられるということにもなりますが、これらに関連性はあるものの同じではありません。

逆転のメカニズムは、勝っているチームが、より大きな力と有利を手にしている感覚を楽しめることにもつながっています。これは直感的なものではないので少し説明します。もし有効な逆転のメカニズムがない場合、スケーリングチャンピオンが一度もチャンスを得られないほどスノーボールを弱めなければなりません。序盤にドレイヴンがデッドしまくる試合を経験することもないでしょう。逆転のメカニズムは、勝っているチームに持っている有利を「賢く使う」よう促しているのです。たとえば味方のよく育ったリー・シンが、欲をかいて視界のないままにカウンタージャングルを始めたら──敵チームがシャットダウンの1000ゴールドを獲得した時に、彼はおそらく自分が持っていたものの価値を思い知ることになるでしょう(誰しも一度はそんな経験があるはずです)。反面、彼が有利を抱えたまま後ろに控えて何もしなければ、敵チームが素晴らしいプレイをして追いつくチャンスを野放しにすることになります。

良い逆転のメカニズムを作るには?

鍵になるのは「逆転は積極的に掴みかなければならない」ということです。たとえば、あなたが勝率40%以下の不利な状態でプレイしている、もしくは戦闘で勝てる可能性も低く、オブジェクトを取るためのマップ内移動にも苦労している、とします。ゲームのメカニクスに組み込まれている逆転は、勝っているチームも筋が通っていると感じられなければなりません。それが望んだ状況でなかったとしてもです。逆転は勝っているチームのミスプレイ(もしくは好プレイの欠如)の結果であるべきで、負けているチームが何の対価も払わずに勝ったと感じられてはいけません

これについて、私たちのもうひとつの考え方は、「勝っている状態というのは、必ずしも勝利につながるわけではない」ということです。勝っているチームが持っているのは有利であって、勝利ではありません──勝利を掴むためには、良いプレイをする必要があります。逆に言えば、負けていることが、その試合に負けるということでもありません。どちらの場合でも、良い逆転のメカニズムは良いプレイしたチームに報い、振るわないプレイを咎めるものなのです。

現在の逆転のメカニズムの懸念点は?

逆転のメカニズムがスノーボールのバランスを取っていることを考慮すると、勝つための行動を咎められていると感じることもあるでしょう。ですが大きな有利を持つチームは多くの場合、相手の賞金獲得を妨害したり、獲得量を少なくしたりする力を持っています。不利な状況でチャンピオンの賞金を獲得するためには、自分よりもかなり強い相手をキルしなければなりません。オブジェクト賞金では、勝っているチームはより多くの視界とマップコントロールを得ていることに加え、アイテムやレベルでも上回っていることでしょう。しかしながら、理論上の公正さよりも実践上の公正さが大事ですので、実情をモニターしながらシステムを調整しています。

既存の賞金の調整に加えて、私たちがバランスに大きく影響すると考えているその他の要素も以下に示しておきます。

  1. 境界線上のケースあるプレイヤーが0キル4デスで、その後2キルを獲得したなら、賞金をつけるべきか?あるプレイヤーが8キル0デスでも、チームをソロキャリーしていると考えるべきか?チームが4対5でも集団戦に勝てない場合──オブジェクト賞金は有効であるべきか?

  2. チーム構成たとえば、フル序盤構成を相手にしたフルスケーリング構成のチームが3000ゴールド負けていても、実際には互角(もしくは有利!)の場合、現状ではオブジェクト賞金が獲得可能になっている。

  3. 特定のチャンピオンの性質同じ8キル0デスでも、徒歩で柔らかいアッシュより、捕らえどころのないエコーのほうが、賞金の回収はかなり難しい。同時に、エコーは持っている有利を活用するためにリスクを取らなければいけないが、その一方でアッシュはピールがあればしっかり勝利をつかむことができる(…チームワークもかなり要求されますが)。

  4. 明確な表示具体的に言うと、現在は経験値の有利と獲得ドラゴン数が、賞金の有無に大きな影響を及ぼしていると思われるが、それに対してプレイヤーは、ゴールド差を賞金が公平かどうかを決める要素として過剰に優先させる傾向がある。

逆転とスノーボールのメカニズムは、ゲームのあらゆる側面に密接に関係しているので、データから傾向がはっきりしてくれば、さらなる慎重さをもって調整を行っていきます。私たちは皆さんからのご意見を参考に、理解しやすく直感的で─そして最も重要なこととして─プレイヤーの皆さんが期待する機能を持つシステムを作っていきます。いつもプレイしてくださりありがとうございます。サモナーズリフトでお会いしましょう。平和を祈って。