Quick Gameplay Thoughts 5月14日

チャンピオンのカウンタープレイ

今回は、今後実装予定の作業やゲームの現状ではなく、私たちがチャンピオンのゲームプレイをデザインする時の原則のひとつである「カウンタープレイ」についてお話しします。公式記事を長らく読んでいる方にとっての新情報は多くありませんが、このトピックについて触れるのは久しぶりなので、新規プレイヤーの皆さんと共有したいと思います。

チャンピオンのカウンタープレイ

カウンタープレイは私たちが重要視している要素のひとつで、「敵の脅威を軽減したり、克服したりするためにプレイヤーが使えるアクション、選択肢、方法」と定義できます。これは長年にわたって私たちのデザイン哲学の重要な要素であり、これまでもうまく適用できた時は、LoLがしっかりと改善されていたでしょう。このゲームデザイン原則は、主に2つの恩恵をもたらします。

  1. 公平さ - 理解可能かつ明確、有用な反応があることで、もしプレイヤーやチームの現在の技量レベルでは完璧に実行できなかったとしても、敗北やデス時のストレスを大きく減らすことができます。ゲームの対戦相手にチートされていると感じるのではなく、成功するために取れたかもしれない行動を指摘することで、プレイヤーの成長を助けることができます。(ゲームデザインでは「影響力」としてもよく言及されます)
  2. 深さ - 対戦相手が反応する余地のあるチャンピオンデザインは、体験の深さに多くの階層を付加します。「最初に撃った人が勝つ」ような一度限りの体験ではなく、身体と精神の技術を駆使することで、戦いが不利になったり有利になったりするということです。

戦略的なレベルでカウンタープレイを提供する明確な長所と短所を持っていて、戦闘での反応を引き出す戦術的なカウンタープレイも存在するチャンピオン、それこそが理想なのです。”

カウンタープレイはさまざまな形を取ります。チャンピオンごとに、それぞれの長所と短所に合わせた適切なカウンタープレイを実現させるためには、少しずつ違った方法が必要です。

  • 戦術的カウンタープレイ - チャンピオンのスキルやコンボに対して、反応するチャンスがある「瞬間」のことです。
    • わかりやすい例 - 方向指定スキルを避ける、スキル詠唱を妨害する、時間を使って防衛の準備をする、相手の攻撃を防ぐために味方やミニオンの背後に位置取る。
    • ブリッツクランクのフックやアッシュのR、サイオンのQのようなスキルでデッド確定になる、影響力の高い瞬間やコンボにとって必要不可欠なのが、戦術的カウンタープレイです。
    • ほとんどのケースでは、戦術的ゲームプレイを総合的に実践できるようにする(ダッシュや防御力上昇のような、チャンピオンの特定スキルと結びつけるのではなく)のがベストなので、こうした影響力のあるスキルには、反応する機会をすべての対戦相手に持たせています。
    • 多すぎれば、実際には悪いことにもなるでしょう。すべてのスキルに戦術的カウンタープレイが必要なわけではないですし、戦術的カウンタープレイが多すぎれば、スキルキットの使いづらさや、全体的に信頼性のない感覚をもたらしてしまいます。
    • 影響力とカウンタープレイは、釣り合っている必要がある:効果が強くなれば、カウンタープレイの余地も大きくなります。(アッシュのRのような一部のスキルは、矢の飛距離が伸びるとスタンの持続時間が長くなる相乗効果があるので、敵にとっては回避できる時間が長くなります)
  • 戦略的カウンタープレイ - この種のカウンタープレイは非戦闘時に可能で、チーム全体によってよく行われます(戦術的カウンタープレイのように戦闘中には行われない)。
    • わかりやすい例 - カウンターになるアイテムを作る、試合序盤に弱いジャングラーにインベード(敵ジャングルにチームで侵入して優位を取る行為)を行う、アサシンに対抗するため集合する、茂みに隠れた相手を回避するために青トリンケットを使う、ウェーブクリア能力の低いチャンピオンに対してレーンプッシュをする
    • 戦略的カウンタープレイは、チャンピオンの特定メカニクスに結びついていることがありますが(イブリンの対策にコントロールワードを使うなど)、多くの場合はそのチャンピオンの主とする目的(たとえばスプリットプッシュやハイパースケールなど)を対処するためのものです。
    • 戦略的カウンタープレイは、戦闘で正しい動きをするのではなく、正しい戦闘をセットアップする(もしくは回避する)目的のさまざまな形を取るため、理解や受容が難しくなります。良い戦略プレイを伝える方法を追加すれば、もっと多くのプレイヤーがそれに接することができるでしょう(ピン機能はこのための手段です)。
  • チャンピオンの弱点 - これはチャンピオンの特徴、チャンピオンのクラス、あるチャンピオンに対抗して勝てる確率の高いチーム戦略です。
    • わかりやすい例 - 機動力に欠けるゼラスは機動力の高いアサシンに弱い、キヤナのバーストダメージはタンクに対してダメージ不足になってしまう、ナサスは機動力の高い遠距離チャンピオンにカイトされる
    • これらの弱点はそれなりの不利になっても、完璧なカウンターにはつながりません。また、プレイしている試合の有利/不利の程度が異なることで、(常に完璧なプレイが行われる場と比較して)いくらプレイしても同じような試合に感じることが少なくなります。ですが、あるカウンターに対して勝機が全く見出せないのであれば、影響力が失われ過ぎています。

チャンピオンにとっての正しいカウンタープレイは、少しずつ違うのが常ですが、長所を中心にデザインを行うのが、成功率の高いアプローチです。

  • ケインは試合終盤に恐るべき強さを誇るチャンピオンに変貌します。ですので戦略的な試合序盤の弱点と、Wに設けられた強力で適切な戦術的カウンタープレイ、この両方を作ることになりました。
  • 長距離からクラスの中で最も優れたCCとダメージを叩き出すのがジンの強みなら、とても頑丈なチームに相対した時の明確な弱点として、ダメージの継続性に欠けるという弱点と組み合わせるのは理に適っています。彼の超長射程にも、明確な戦術的カウンタープレイが必要になったので、WとRには回避やダメージ軽減の猶予を設けています。

以上の考察に興味を持って読んでもらえたらうれしいです。LoLを日々改善していくため、そして高い水準を維持するために私たちが使っているこれらのデザイン価値から、皆さんも知識を学び活かしてください。 いつもプレイしてくださりありがとうございます。