Quick Gameplay Thoughts 2月11日:新チャンピオンのリリース
新チャンピオンをリリースするたびに「このチャンピオンの新メカニクスがゲームにはまるとどのように決めたんですか?」(時には「なぜこんなことを」と詰め寄るニュアンス寄りのことも)というような質問を受けます。そこで、ゲームプレイの検証方法とチャンピオンのリリース計画の検証方法をシェアすることで、こうした疑問にお答えしたいと思います。最新チャンピオンのゲームプレイデザイナーを務めた私に、ついて来てもらいますよ!さっそく始めましょう。
ゲームプレイの検証
ケーススタディ:レナータ・グラスク
新チャンピオンには、プレイスタイル、メカニクス、テーマなど、それぞれ独自の新規要素をつけたいと私たちは考えています。各リリースは、既存のチャンピオンが得意としているゲームプレイの部分から締め出すのではなく、プレイヤー体験の可能性を広げるものになるべきです。しかしながら、新しいアイデアにはリスクがつきものですので、チャンピオンの追加は慎重に判断し、計画する必要があります。
それでは、実際にどのようなことが行われているのか、近頃世間を騒がせているレナータ・グラスクのW
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緊急支援を見ていきましょう。「緊急支援」は、レナータ・グラスクのチームに、生きるか死ぬかの重要な場面を作り出す意図でデザインされました。このバフがあれば、味方1体は能力の限界を超えることができ、成果を出せばデッド後であっても復活することができます。しかしデッドする瀬戸際ではないチャンピオンに使うことで、攻撃関連のステータスを向上させることもできます。
基本スキルが強すぎると、ゲームの内容が良くない状態になることがあります。特に復活の可能性があるものは、通常よりも入念なテストが必要でした。ゲームプレイの検証をする時は、必ず以下のように重要度の高い疑問から始めます。
- 「緊急支援」があることにより、対戦相手は攻撃的に出る利点がないと感じるか?
- レナータが「緊急支援」を積極的な場面で使わず、味方を蘇生させる機会を待つだけにならないか?
- 対戦相手のレナータが「緊急支援」を使った時、カウンタープレイがあると感じられるか?
これらの疑問に対し、対象のスキルに制約をつけたり外したり、数値を調整することで、スキルが願わくば良好な状態になるよう検証していきます。もしスキルが私たちの期待値に届かなかった場合、原因を見つけるまで試行錯誤を続けます。
さらに細部を煮詰める
あるメカニクスの強さが許容範囲内に正しく落ち着いたら、最終調整に入るため、さらに細かい疑問点を設定していきます。
- 味方を助けることができた「緊急支援」は、どのくらいの頻度で使われたか?味方が助かるケースはどのくらいの頻度で、その後どのくらい長く生き延びるか?
- 起こり得なかったキル獲得につながった「緊急支援」は、どのくらいの頻度で使われたか?
- 「緊急支援」が使われると、序盤のオールインはどのように見えるか?
こうした疑問によって、スキルをどのように調整するのか、私たちが「調整レバー」と呼ぶものについてのノウハウが蓄積されていきます。調整レバーが変われば、調整するスキルの側面も変わります。「緊急支援」の場合、復活の可能性の高さやステータスの増加の効果、使用頻度などのアウトプットを上下させることで調整できます。この作業を繰り返すことで、必要な調整レバーが備わり、スキルに対する知見も十分に得られたところで、リリース準備が完了と判断できるポイントに到達します──もちろん、計画に沿った形で。
リリース後の計画
リリース後の計画とは、新チャンピオンのリリース後の状況予測と、リリース後の対処方針です。これは各スキル帯での勝率予測やアイテムビルド、スキルの優先取得順やロール優先度など、項目は多岐にわたります。ライブサーバーで得られる数字が、予測から大きく外れていた場合には、調整レバーを操作することで状況の改善を試みます。リスクの高いスキルについては、個別に「アクション項目」を設けることもあります。これは将来的に起こりえるシナリオと、それに対する対処方針をまとめた作戦計画書のようなものです。
レナータ・グラスクで、アクション項目が必要なリスクの高いスキルのひとつが「緊急支援」でした。たとえば、味方復活の成功頻度や有効性といった点が、懸念事項になりうるのです。復活の頻度が高すぎる場合には、ゲームプレイの検証により設定したいくつかの調整レバーを用いて対処を行います。
- 「緊急支援」のバフ持続時間を短くして、味方が復活できる時間を減らす
- 復活した味方が燃え尽きるまでの時間を短くし、すぐに燃え尽きるようにすることで炎を消すためにキルまたはアシストを獲得できるチャンスを減らす
- デッドしそうな味方は数秒以内に敵にダメージを与える必要があるので、アシストでは復活できなくするのではなく、キルまたはアシストを得るための時間を制限する
- 実際のステータスの増加量を大きくして、デッド寸前の味方よりも、生き残る目算の高い味方にバフをかけたくなるようにする
まとめると、新しいメカニクスを持つチャンピオンを、受け入れてもらえるコンディションで着実にリリースしていくことが私たちの目標で、ゲームプレイに大きな問題があると予想できるのであれば、備えを怠らないようにしています。ですが、プレイヤーの皆さんによってプレイされる試合数は、チャンピオン1体の全開発過程に行われる数の1000倍以上です。レナータ・グラスクが私たちの予想通りかどうか、しっかり監視していきます。2月17日のライブサーバー実装後、彼女がどのようにプレイされるようになるのか、楽しみでなりません!