チャンピオンの人気:数字とグラフから見えてくるもの
皆さん、こんにちは!RiotNovaです。今回はライアットがチャンピオンの人気を調べるために使っている秘密のツールをご紹介します。ヒント:champion.ggを開いて見て終わり、ではありません。大量のデータが登場します。
チャンピオンの人気を測る時、私たちは「広がり」と「深さ」の2つの指標を利用します。これらはそれぞれに種類の異なる人気を表していますが、どちらも重要な指標であり、これらを組み合わせることでチャンピオンの総合的な、真の人気が見えてきます。
計算方法
チャンピオンの基本的な人気度を測る公式は極めてシンプルです。
チャンピオンの人気度 = そのチャンピオンを使うプレイヤーの人数 x プレイヤーがそのチャンピオンを使用する平均試合数
さらにシンプルにするとこうなります。
チャンピオンの人気度 = 広がり x 深さ.
この公式では、広がり は特定の期間内(ひとつのパッチ期間内など)にそのチャンピオンを使用したプレイヤーの人数を示しています。もしあなた、あなたの友達、そしてフィードし続ける味方のトップレーナーが全員リヴェンを使っていたなら、その分期間内のリヴェンの「広がり」のスコアが増加することになります。
深さ は特定の期間内のそのチャンピオンを使用した試合数のプレイヤー平均を示しています。ヨリックを使っているプレイヤーがあなたしかいなかったとしても、あなたがひたすらヨリックを使い続けていたなら、あなた一人のおかげでヨリックの「深さ」スコアが増加することになります。
広がりと深さをグラフの縦軸と横軸に当てはめると、グラフ内の各象限でチャンピオンの人気度(…または不人気度)をカテゴリ化することができます。
図にすると、このようになります。
「人気」と「不人気」のチャンピオンはいたって分かりやすく、シンプルです。人気のチャンピオンは多くの試合で(そして最近のクレアボヤンス・ブログでも)目にすることができ、広がり、深さともに高スコアになっています。
不人気なチャンピオンは、そのメタで強かったり、イブリンのようにリワークされない限りは、ほとんどのプレイヤーが思い浮かべもしないチャンピオンです。不人気なチャンピオンは(ご想像のとおり)広がりも深さもスコアが低くなります。
ニッチなチャンピオンは試合ではたまに目にする程度ですが、そのチャンピオンを専門に使っているプレイヤーがいて、相対した時には非常に手強い相手となります(イラオイなどが良い例です)。ニッチなチャンピオンは深さのスコアが高く、広がりのスコアが低くなっています。
幅広いチャンピオンは操作が簡単で理解しやすく、アニーのように多くのプレイヤーが時には使ってみようと考えるチャンピオンです。これらのチャンピオンは広がりのスコアは高いものの、深さのスコアが低くなっています。
注目すべき点は、人気になっている理由が違うだけで、ニッチなチャンピオンも幅広いチャンピオンも、どちらも人気度は同じくらいだというところです。幅広いチャンピオンは使っているプレイヤーの人数の多さによって、ニッチなチャンピオンはプレイヤーあたりの使用回数の多さによってその人気度を獲得しているのです。
グラフの芸術
パッチ7.16の時点における全チャンピオンの人気チャートはこのようになります。
ただし、ひとつのパッチだけで結論を出すべきではありません。そのチャンピオンがたまたま強く調整されていたり、プロの試合でピックされていたり、スターガーディアンのような新スキンが登場したばかりであれば、特定のパッチにおけるチャンピオンの人気は大きく変動します。
計測期間を遥か昔のパッチ5.24(英語ページ)まで広げると、以下のようなわかりやすいグラフができあがります。
この美しいアートはお近くの美術館で開催中のジャクソン・ポロック展でご覧いただけます——冗談はさておき、この落書きのようなカラフルな線の中には多くの情報が秘められています。さっそく解説していきましょう。
まず、変曲点は各パッチの境目を示しており、最近のパッチになるほど、点と点の間を結ぶ線が太くなっています(一番太い線 = 一番新しいパッチ)。
先ほどの各カテゴリに戻ってみると、同じ区分内にとどまり続けたチャンピオンが一部に存在しています。イラオイは長い間、「ニッチ」の区分内に存在し、アニーは扱いやすい、「幅広い」チャンピオンの区分内に存在し続けています。常に「人気」のリー・シンのようなチャンピオンもいれば、ずっと「不人気」のカーサスのようなチャンピオンもいます。このグラフを見れば、人気、不人気、ニッチ、そして幅広いチャンピオンとはそれぞれどういったチャンピオンなのかがわかります。
マークスマンはユニークなグループであり、20体近くのチャンピオンがいますが、不人気のカテゴリーに入っているマークスマンはほとんどいません。実際、半分近くのマークスマンが常に人気のカテゴリーに入っています。マークスマンが安定して人気である理由については、少なくともあなたがメタを変えてしまうような“天才”(いい意味でも…そうでなくても)でない限り、サモナーズリフトでは各チームに必ずADCが存在し、使用されるチャンピオンの5分の1を常にマークスマンが占めているからだと思われます。LoLの全チャンピオンに占める割合は7分の1なのでマークスマンの選択肢が広いとは言えず、それが結果としてマークスマンというクラスそのものの人気度に繋がっているのでしょう。
クラス全体が人気になっているもう一つの理由は、各チャンピオンを使いこなすために必要なスキルが、全マークスマンで共通していることがあげられます。重要なのは位置取りと、的確な右クリックによって敵に与えるダメージを最大化することなので、マークスマンを1体マスターすれば、そこで学んだスキルを他のマークスマンにも流用することができます。
多様性を確保するためにもっとマークスマンの数を増やすべきだと思うかもしれませんが、マークスマンの人気については、もう一つの仮説が存在しています——ほとんどのマークスマンは人間の姿をしており、そしてどうやら、プレイヤーの皆さんはヒトっぽいチャンピオンを好まれているようなのです。
モンスターは「モンスターである」というだけで過酷な人生を送るものですが、さらにつらいことには、彼らは見た目が人の姿であるチャンピオンほどピックされていないようです。8体のモンスターの中で現在、人気チャンピオンのカテゴリーに入っているものは一つもなく、データの計測を開始して以来、人気のカテゴリーに入ったことがあるチャンピオンは一体しか存在しません(オレリオン・ソルのデビューパッチを除いて)。不人気の理由として考えられるのは、一人ぼっちの水晶サソリよりも、パワフルなデーモンハンターの方が、プレイヤーが共感しやすい、または憧れの気持ちを持ちやすいからかもしれません。もしくは、私たちデザイナーが単純にこれらのクリーチャーのテーマやスキルを上手く表現できていないということなのかもしれません。
チャンピオンの人気を広がりと深さに分けて考えることで、チャンピオンへのリワークがその人気に与える影響をより正確に測ることができます。私たちは単純にチャンピオンの人気を高めればいいと考えているわけではありません。まずはデザイン目標を決めて、チャンピオンのビジュアル、テーマ、スキルセットのすべてが上手くまとまるまで、その目標に向かって改善を続けていきます。
たとえば、私たちはアーゴットを一番人気のチャンピオンにしたいと思うどころか、彼を人気チャンピオンのカテゴリーに入れようとすら思っていませんでした。彼の独自性をそのまま受け入れ、アーゴットはできる限りアーゴットらしくしようと心がけていました。アーゴットの場合、私たちが目標にしていたことのひとつは、彼を不人気カテゴリーからニッチのカテゴリーに移動させることでした。現在はその方向に向かっているように見えますが、判断をするにはまだ時期尚早なので、引き続き経過を見守りたいと思います。
こうしたデータをどう活用しているのか
誰もが使いたがるチャンピオンでも、一部の限られたプレイヤーが持ちキャラにしたくなるようなチャンピオンでも、とにかくプレイヤーが楽しめるチャンピオンを開発することが私たちの目標です。どちらのチャンピオンも私たちは好きですが、一つだけ避けたいことは、最終的に不人気になるチャンピオンを生み出してしまうことです。私たちはいつだって、プレイヤーに楽しんでプレイしてもらえるチャンピオンを作りたいと考えています。
チャンピオンについて考えるにあたり、今回お見せしたデータが判断材料のすべてというわけではありません。むしろ、これを見ることでプレイヤーがどう考えているのかについて様々な疑問が湧いてきます——どうしてリー・シンは一年半以上も人気を維持しているのか?プレイヤーが特定のチャンピオンを好んでいるのはなぜか?なぜ特定のグループの間に人気の差が生じるのか?これらの疑問に答えを出すのは簡単ではなく、そのためにはチャンピオン関連性診断デバイスなどの他のデータと組み合わせたりする必要も生じます。プレイヤーの皆さんの想いや選択について私たちが把握できていない部分はまだまだたくさんありますので、このようなデータは皆さんに気に入ってもらえるチャンピオンを開発したり、アップデートしたりする際に役に立つのです。
今回は以上です!皆さんのご意見をお寄せください!