/dev:2024年のマッチメイキング
前回のDev Updateでは、マッチメイキングについて全世界のプレイヤーから相当な数の質問が寄せられました。そこで今回は、今年のマッチメイキングの変更がどのような結果を生んだかに触れ、そしていちばん重要なこと、つまり私たちが現在取り組んでいる内容についてお話しします。
マイナスLPのアカウント
今年序盤には、戦績が良いアカウントでも獲得LPより喪失LPが大幅に多くなるという問題が生じていました。そこで私たちは全ティアでマイナスLPを削除する変更を行い、スプリット2の時点で、ティアの境界でプレイヤーが連敗する場合の短期的ケースを除き、これらの問題を解決しました。この他にはアイアン~シルバー帯の対戦待ち時間を約1分短縮し、チーム内のLP差を約1.5ディビジョン分縮小し、チーム間の平均LP差を約1ディビジョン程度(例:シルバー3とシルバー2)としました。
これらの変更は中国では特に功を奏し、アイアン~シルバーで7ディビジョンだったLP差は1ディビジョンに低減し、さらに平均対戦待ち時間も30秒短縮できました。この他には「勝率稼ぎチーム」(意図的に操作されたアカウントを使い、数百試合以上を経ても勝率100%を維持するチーム)はそうしたチーム同士で対戦を組むようにもしています。
LP差とブルー/レッドサイド
マッチメイキングの分野でもうひとつ取り組んだ分野が、ブルー/レッドサイドのバランス調整でした。パッチ14.17では、チーム間の平均LP差を2ディビジョンから1ディビジョンへ縮小させる変更を行っています。また特に高MMRにおいて、ブルー/レッドサイド間のバランス改善を意図した変更も行いました。これらの変更によって、特定の高ランクプレイヤーが同じサイドに繰り返し配置される頻度も低下しています。
どこでもオプションの差
どこでもオプションは最上位レベルの難題です。人気・不人気なロールというのは必ず存在しますし、それは地域によっても異なります。しかし全員が常に第一希望ロールを得られるようにすれば、対戦待ち時間が大幅に延びてしまいます。
地域 | トップ | ジャングル | ミッド | ボット | サポート | どこでも |
NA | 21.4 | 13.3 | 29.7 | 17.6 | 16.0 | 1.9 |
EUW | 20.6 | 14.8 | 29.7 | 17.1 | 15.8 | 2.0 |
CN | 26.3 | 22.6 | 21.8 | 16.8 | 9.2 | 6.1 |
KR | 24.1 | 15.4 | 28.4 | 18.9 | 11.4 | 1.8 |
VN | 25.6 | 18.5 | 28.8 | 17.3 | 5.7 | 4.1 |
今年改めて設定を見直したところ、一部条件下でどこでもオプション枠数のバランスを保とうとしているために、全体としてはどこでもオプションプレイヤーの数が不均衡な試合が多くなりすぎていることがわかりました。そこでパッチ14.17では、どこでもオプションの人数が0:0または1:1の試合割合を増やし、2:0(あるいはそれ以上に不均衡なもの)の試合を実質的に無くす改善を実装しました。
どこでもオプション人数についてはまず0:0または1:1を目指し、一方のチームを利するロール変更を制限しようとしています。とはいえ一部のケースでは、対戦待ち時間が長くなりすぎるのを防ぐため、どこでもオプション人数の不均衡(1:0や2:1)を許容せざるを得ない場合もあります。
新アカウントの振り分け
今年序盤に発生した一部の問題はまた、一部のプレイヤーが意図したよりもはるかに高ランクに振り分けられる状況を生み出していました。この事象に対しては、よりスキルレベルを正確に反映した振り分けが可能になるよう計算式を改善しました。この他にはランク戦プレイの前提条件にノーマル10試合を設定し、正確なスキルレベルを評価できないランダムミッドやAI戦からランク戦に直行するのを予防し、ノーマル戦でより正確なスキルレベルを把握できるようにしています。
最終的には、新規プレイヤーが同スキルレベルのプレイヤー層に振り分けられ、そこで勝率約50%を達成することを目指します。現在新規プレイヤーの勝率は約46%ですが、これは今後の調整や変更を通じて50%に近づけていく予定です。
未来の話
今年はマッチメイキングに確固たる改善を行うことができましたが、今後ももちろん更なる改善を積み重ねていきます。以下は、現在認識しているマッチメイキングの問題の一部です。各問題の解決には、対戦待ち時間と対戦クオリティという、LoLの健全性にとって非常に重要な2つの要素の間で、適切なトレードオフを見つけるという極めて繊細なバランス調整が求められます。
スマーフの振り分け:
ランク戦の前提条件としてノーマル戦10試合を追加したことで、「ランク振り分けで新規参入アカウントが平均勝率50%を狙える環境」という目標の達成は近づきました。
しかし高スキルプレイヤーのスマーフアカウントが本来のスキル帯レーティングに到達するまでの時間は依然として長すぎます。そこで現在私たちは、実際よりも大幅に下のスキル帯にいるスマーフの数を減らすことを目標に、さまざまな改善方法を模索しています。
これと並行し、現在はTrueSkill2というシステムの評価も進行中です。このシステムには新規アカウントの振り分け精度やスマーフ検出率を有意に向上させる可能性があります。現在は効果テストとLoLとの相性を積極的に評価中です。テスト結果については、また情報が揃いしだい皆さんにお知らせします。
キューをまたいだスキルレベル評価
LoLはランク戦ソロキューを好んでプレイするプレイヤーが主流派のゲームです。それ自体に何も問題はありませんが、異なるキュー間でのスキル評価には一定の同等性が必要であるとも考えています。たとえば現在、高ランクプレイヤーがノーマル戦またはフレックスの試合を時々プレイする際、マッチメイキングがかなり不均衡になることがあります。これはノーマル戦やフレックスではプレイヤーのソロキューレーティングを参照していないことが原因です。これについては、試合があまりに一方的にならないよう、全体的なスキルレベルをマッチメイキングで考慮することを目指しています。
ロールと対戦待ち時間の不均衡の解消
上の表でお伝えした通り、もっとも不人気なロールは地域ごとにかなりの差があります。このため、少なくとも今のところは、全地域で有効な解決策は存在しません。今後は極端な格差を解消し、対戦のクオリティを損なうことなく、対戦待ち時間を短縮できるような、より良いマッチメイキングやインセンティブの解決策を模索していきます。
どこでもオプション
どこでもオプションをどのロールに対して用いるか?という点については現在も最適化手段を模索中です。例えば、どこでもオプション人数が1:0の試合を組む必要がある場合、どこでもオプションプレイヤーがいるチームには何らかの補填をすべきでしょうか?また、どこでもオプション人数が1:1の場合、そのロールは同じであるべきでしょうか?
そうした対処が可能な場合もあるということは現時点でも確認できていますが、それには対戦待ち時間の増加が避けられないため(あまり望ましくないトレードオフです)、この問題については引き続き新たな解決策を探っていきます。
対戦のバランス
私たちは常にスキルレベルの均衡した試合を目指していますが、一方では、先に説明した通り、「スキルレベルの近さ」と「対戦待ちの速さ」のバランスにも常に気を配る必要があります。
現在注目しているアプローチは、プレイヤーの希望ロールとレーン対面のスキルレベルでマッチングする手法です。すべてのプレイヤーの対面(一番長く対峙する相手です)が、それぞれスキルレベルの近い相手になる世界…まさに理想です。いくつか乗り越えるべき懸念点はありますが、現在私たちは改善を目指す上で有望なアプローチだと考えています。
ランク戦復帰
最後に、ゲームに復帰したプレイヤーに向けた「ランク戦復帰」体験を改善したいと考えています。現在では、ランク戦に復帰したプレイヤーの勝率は平均で約46%ですが、目標はこの数字を50%に近づけることなので、この点はまだまだ改善の余地があります。
マッチメイキングは複雑なものです。しかしLoLで世界最高峰の競技性を実現するには高品質なマッチメイキングが非常に重要です。だからこそ私たちは改善の余地を常に探しています。すべてはプレイヤーのために。また大きなアップデートを展開する際には最新情報をお知らせします。それまで、引き続きゲームをお楽しみください!