パッチノート 9.3
辛さ控えめ、ミルクのようにマイルドなパッチノート9.3へようこそ。まずチャンピオン関連ではエイトロックス、アカリ、イレリアに向けて、対戦相手が十分に付け込めるような有意義な弱点を持たせるため、仕様に対するこれまでの調整の総仕上げを行っています。アイテム方面では、ミッドシーズン以降不満の声が絶えなかったビルドの不備を解決するため、マークスマン向けのアイテムに大幅な変更を加えました。また、“負けている状態から持ち直したチャンピオン”と“最初から相手を引き離していたチャンピオン”が同等の扱いをされないよう、ファームによって懸かる賞金の仕様も変更しています。
それでは、コップ一杯のミルクを手にご確認ください!

パッチ・ハイライト
ミッドパッチアップデート
2019年2月12日(太平洋標準時) バランスアップデート
最近、ソロレーンで「ねこばば」とスペルシーフエッジ系アイテムの「徴収」を組み合わせて、ラストヒットを狙わずに相手へのハラスのみでひたすらゴールドを稼ぐケースが見られるようになりました。この戦術によっていくつかのレーン戦向けのスキルが用無しになるだけでなく、ラストヒットを無視してもゴールドを逃すデメリットがなくなり、相手からの牽制も意味を成さなくなります。
昨シーズンで話題に上がった、特定のプレイヤーにゴールドを集約する“ファンネリング戦術”と同様に、この戦術に対しても強力な防止策を実施します。ただし、この対策は応急処置的なもので、長期的にはより適切な対策を実施していく予定です。今回の調整は本来の使い方をしているサポートにも影響を与える場面がある(ADCがリコールしている間に一人でレーンに残っている時など)ため、「徴収」の獲得ゴールドを少し増やすことでバランスを取ることにしました。なお、「スペルシーフエッジ」を「エンシェントコイン」に持ち変えるだけで同じ戦術がとれるため、「エンシェントコイン」にも同様の調整を行っています。
スペルシーフエッジ系
エンシェントコイン系
チャンピオン

エイトロックス
体力自動回復量が増加。チャンピオン以外からは回復できないように。Eのチャージを貯められないようになる代わりに、これまでチャージにかかっていた時間よりもクールダウンが早くなるように。
前回のパッチにてこの“ダーキンの暴剣”の純粋なパワー低下に取り組んだわけですが、今回の変更の狙いはその弱点をさらに多く顕在化(けんざいか)させることにあります。まず、敵の攻勢に対する対抗策――タワー下に引いての安全なファーム――を採りにくくするため、Eの自動効果から“チャンピオン以外からの回復”を取り上げることにしました(その代わりに、基本体力自動回復を向上させています)。また、「E - 影進撃」のチャージを貯められないようにすることで、Qを3発フルヒットさせる際の難易度を上げ、かつ敵にうまくダッシュを誘われてしまった場合には2度目のダッシュで離脱できないようにもしています。
基本ステータス
E - 影進撃

アカリ
体力自動回復が増加。Qで回復できないように。タワーが「黄昏の帳」の中のアカリを可視化するように。Wのクールダウンが高スキルレベルで延長。
まずはこの話題から始めましょう――アカリがアップデートで手にした能力のうち、最も論争を巻き起こしている“タワーから隠れる能力”を削除することにしました。“なんで半年もかかったの?”と首をかしげている方も多いかもしれませんが、これはアカリの(ほかのアサシンのような)タワーダイブが、タワー下におけるステルス能力に依存していると考えたからでした……が、結局のところ、キル確保能力を犠牲にすることなく戦闘中に標的を切り替えられたり、4種類もの移動スキルを筆頭に多種多様の強みを持つアカリに、強力なタワーダイブ能力までもが備わっている必要はありませんでした。そもそもアカリが“ほかのアサシンに比べ長期戦闘において優れたパフォーマンスを発揮できる”のであれば、短時間のタワーダイブしか行えないという弱みは、理にかなったものであるはずです。なお、クールダウンを延長する理由はもっとシンプルで、ゲーム終盤に「W - 黄昏の帳」による防御を利用しにくくするためです。
さて、次は「Q - 五連苦無」のナーフについてお話しすべきでしょう。アカリが上位層のプレイヤーたちから無条件にピックされている理由の大半は、Qによる回復能力にあります――このチャンピオン以外からの回復能力は、レーンから押し出されて然るべきマッチアップはおろか、キルを取られてもおかしくない相手とのレーン戦すらも乗り切ることを可能にしています。この弱体化による影響を若干緩和するため体力自動回復を少し向上していますが、それでも全体的には明らかなパワーダウンになるはずです。
アカリの再強化について考えるのは、“Wの変更が対戦相手のフラストレーション解消につながったか / Qの変更で有効なカウンターチャンピオンが生まれたのか”など、プロシーンと通常のプレイシーンの両方において彼女の調子を注意深く見守ったあとのことになるでしょう――ですがひとまず、今回の調整によってアカリは必須バンではなくなることでしょう。
基本ステータス
Q - 五連苦無
W - 黄昏の帳

カミール
Eがミニオンまたは中立モンスターをスタンしないように。
カミールが持っているS級ジャングラーという立ち位置は、トップレーナーとしてのカミールに影響を与えることなく調整するのを難しくしていました。そこで、たとえジャングラーとしてピックされることが珍しくなるとしても、今後はトップレーナーとしての調整を優先することにしました。
E - フックショット

カシオペア
Qのダメージが高スキルレベルで減少、反映率は一律で増加。Wのダメージが高スキルレベルで減少、コストは増加。
この変更の理由は前回(それも直前のパッチとまったく)と同じです。カシオペアは未だ、安全な距離から高すぎる火力を叩き出せてしまっています。
Q - ノクサスブラスト
W - ミアズマ

イレリア
レベルアップごとの体力と物理防御が増加。固有スキルのスタック上限が増加。スタック数に応じて得るボーナスが追加ダメージから攻撃速度へ変更、最大スタック時に得るボーナスは攻撃速度から追加ダメージへ変更。Qのミニオンに対する追加ダメージが増加。Wの物理ダメージ軽減率を上昇させる代わりに、魔法ダメージを軽減しないように。
イレリアに明確な弱点を作り、なおかつ強みを発揮できる状況を狭める――それを目標に、前回のパッチ9.2にて彼女のスキルキットから余分なパワーを削除して試合終盤でのウェーブクリア能力も低下させましたが、今回の調整はそのフォローアップとなります。9.2以降、イレリアを相手にしたプレイヤーはピックからレーン戦、チーム戦のすべての段階を通して、対抗手段が増えたように感じていることでしょう。それを踏まえたうえで、このパッチでは以下の調整を行うことにしました。
まず、「アイオニアの熱情」の効果を逆に――つまり、スタックごとに攻撃速度が上昇し、最大スタック時に追加ダメージが発生するように――しました。イニシエート時のコンボの瞬間火力を抑えることで、イレリアの火力が最大へと到達する前に、相手側としても何かしらの対処が間に合うようになるはずです。一方で、すでに弱体化されているウェーブクリア能力への影響を緩和するため、「Q - 瞬刃」のミニオンへのダメージを強化しました。また、「W - 不屈の舞」の物理ダメージ軽減率を上昇させる代わりに魔法ダメージへの軽減率をゼロにすることで、メイジおよび魔法ダメージ系アサシンが弱点となるようにしつつ、物理ダメージ系チャンピオンに対してはより強力なカウンターとなるようにもしています。
基本ステータス
固有スキル - アイオニアの熱情
Q - 瞬刃
W - 不屈の舞
E - 無欠の連舞
チャンピオンとの初回遭遇時のボイス
マークスマン向けのアイテム
はじめに
以下のセクションにてアイテムごとの詳しい解説を行っていますが、興味のある方々向けに、この変更における大まかな思想も説明しておきましょう。昨年のミッドシーズンでは、終盤重視のクリティカルガン積みビルドのチャンピオンやプレイスタイル以外の選択肢をボットレーンに導入すべく、マークスマン向けのアイテムに多数の変更を加えました。結果として、マークスマンではないキャリーたちがボットレーンで活躍できる機会こそ増えたのですが、今度は逆にクリティカル率が100%を超過して無駄になったり、「インフィニティ・エッジ」と「ラストウィスパー」に一切のシナジーがなかったり、コアアイテムを2つ揃えた時点でのパワースパイクが弱体化されたせいで、防御系アイテムに手を出すと火力を大幅に犠牲にしなくてはならなくなったりしたために、クリティカル重視マークスマンたちは苦境に立たされることとなってしまったのです。
以下の目標を実現するため、今回のパッチで再びマークスマン向けアイテムに手を加えています。プレイヤーの皆さんが新しいアイテムに慣れてくれば、クリティカル重視チャンピオンの強さはこれまでとほとんど同じ程度になるはずですが、以前のように3つではなく2つのアイテム――「インフィニティ・エッジ」+「ジール」系アイテム(ちなみに「ファントムダンサー」は防御面で活躍するジール系アイテムへとアップデートされます――でパワースパイクを得られるようになるため、フラストレーションはかなり軽減されるはずです。なお、次回からは(意図から大きく逸脱したものを除いて)アイテムへの継続的な変更を行うのではなく、チャンピオンごとのバランス調整によるフォローアップを行っていく予定です。
- クリティカル重視チャンピオンのコアビルドを魅力的なものにする
- クリティカルビルドをプロシーンでの問題にならないようにしつつ、通常のプレイシーンでは(前述した各種問題を解消することで)全体的に高い満足度が得られるものにする
- クリティカル重視チャンピオンが必要であればコアビルドに防御力を織り込めるようにする

アジリティクローク
紹介よりも先に「インフィニティ・エッジ」や「エッセンスリーバー」の項目に登場するのもおかしいので、最初に持ってきました。おかえり、クリティカルクローク!

インフィニティ・エッジ
クリティカルダメージの一部を確定ダメージに変換する代わりに、クリティカルダメージを増加させるように。他のソースから得ているクリティカル率を2倍にする代わりに、クリティカル率を付与するように。
「インフィニティ・エッジ」単体での有用性を向上し、より即効性のある魅力的なアイテムに変更したいと考えました――確定ダメージ変換効果の削除によって「ラストウィスパー」とのシナジーを改善する一方、かつて問題となった“ゲーム終盤で柔らかい敵を一瞬のうちに溶かしてしまう”という能力を引き続き抑制するため、クリティカルダメージボーナスを以前の50%から25%へと低下させてもいます。
モルテン・エッジ
(オーンのマスターアップグレード)

エッセンスリーバー
クリティカル率を付与するようになった一方、マナや「エッセンスフレア」は付与しないように。
「エッセンスフレア」版「エッセンスリーバー」はいくつかの新しいプレイスタイルを提供した一方で(ルシアン、概ねあなたのことですよ)、アッシュやザヤといった多くのマークスマンたちを切り捨て、最終的にはレネクトンやリヴェンなどのファイター向けアイテムという地位に落ち着いてしまいました。今回の変更により、「エッセンスリーバー」は再びクリティカル+クールダウン短縮アイテムという立ち位置に戻ってきます。

ショウジンの矛
攻撃力、体力、クールダウン短縮、「目覚めし巨竜」(名前を変えた「エッセンスフレア」)を付与。
「エッセンスリーバー」の項目で触れたように、「エッセンスフレア」を活用しているチャンピオンは少なからず存在します。ただ、彼らのほとんどはマークスマンではありません――ですので、彼らのために新たなアイテムを作りました(なお、ネクサスブリッツで古い「ショウジンの矛」を見た方もいらっしゃるかもしれませんが、そちらは「ステラックの篭手」と被る部分が多かったためボツになりました)。

ストームレイザー
エネルギー充填状態の効果を増幅し、ターゲットにスロウを付与するように。ただし、数秒間通常攻撃を行わなかった場合に、次の攻撃が確定でクリティカルになる効果は削除。
「ストームレイザー」は常に攻撃し続けるよりも引き撃ちを好むマークスマンのプレイスタイルをサポートするために作成されたアイテムでしたが、序盤におけるパワーとクリティカルステータスによる強化具合の高さ故に、“クリティカル重視ビルドにおけるファーストアイテム”という地位を確立してしまいました。“時折超強力な攻撃を繰り出せる”というアイデンティティは維持しますが、クリティカル系統からエネルギー充填系統へと移行させることで、ただの“インフィニティ・エッジビルド用初手アイテム”にはならないようにしたいと考えました。

ファントムダンサー
体力が低下するとシールドを付与するようになった代わりに、最後に通常攻撃を当てたチャンピオンから受けるダメージが減らないように。さらにこれまでは敵チャンピオンの近くにいることで発動していた「幽霊のワルツ」は、通常攻撃で発動するように。
クリティカル重視マークスマンのための既存の防御系アイテム(「マルモティウスの胃袋」、「ガーディアンエンジェル」、「マーキュリアル・シミター」)は彼らの生存時間を伸ばしてはくれるものの、コアビルドの完成を大きく遅らせてしまうために、結果としてキャリーに求められている“火力を出す”という仕事の足をかなり引っ張っていました。そこで、「ファントムダンサー」を“クリティカルビルドとシナジーがある防御系アイテム”へと生まれ変わらせることにしました。

スタティック・シヴ
シヴにほかのジール系アイテムと同等の価値を感じてもらうためには、もう少し強化する必要がありそうです。

ラストウィスパー
コストが増加。攻撃力と物理防御貫通が増加。
「ドミニクリガード」、そして「モータルリマインダー」を完成させるまでの間、部品である「ラストウィスパー」の有用性はもう少し高くても良さそうです。
おすすめのビルド
このパッチで行うマークスマン向けアイテムへの多数の変更により、マークスマンのビルドも変化することが予想されます。以下に、今パッチにおいて見かけることになるであろうビルドの型をいくつか紹介します。とはいえ、チャンピオンによって実際のビルドには多少の差異が見られるはずです(なお、ここでは特定のチャンピオン独自のビルドには触れません――エズリアルなどが良い例です)。大切なのは普段と同じように、“自分のチャンピオンのプレイスタイルや長所に適合するアイテムはどれなのか”を、まさにクリティカル・シンキングによって導き出すことです。それを踏まえたうえで、今パッチ中に多く採用されると思われるビルドの例を以下に挙げておきます。
単純なバフ&ナーフ
この新しいセクションでは、仕様や全体的なバランス調整を含まない単純明快な変更――それも主に数値上の調整を取り上げています。とはいえチャンピオンの相性やメタにおける立ち位置に影響を及ぼすことには変わりないので、飛ばさないでご確認ください!

リサンドラ
Qのコストが高スキルレベルで増加。Eのダメージが高スキルレベルで減少。
リサンドラが上位のミッドレーナーとして不動の地位を確立している主な理由は、比較的低コストでミニオンウェーブを敵タワーまで素早くプッシュできるために、十分なマナを残したまま頻繁にロームできるからです。「Q - アイスシャード」のコスト増加と「E - グラシアルパス」のダメージ低下により、他のレーンにプレッシャーをかけられるようになる前に、ミッドレーンでより多くの時間とリソースを消費せざるを得ないようにします。
ウェーブクリア能力への変更に加え、相手側が「E - グラシアルパス」の到達地点の近くにいる場合、常にインジケーターが表示されるようにもします。これは主にリサンドラ使いが“到達地点を地形の内側に隠せていた”状況に対処するためのものですが、茂み内や視界範囲の外側についても対象とします。
Q - アイスシャード
E - グラシアルパス

サイオン
Qのダメージが減少。Wのクールダウンが低スキルレベルで延長。
サイオンの序盤におけるレーン戦性能を弱体化させることで、相性の悪い相手とのレーン戦がさらに苦しいものとなるようにしました。
Q - 破滅の斧
W - 魂の炉心

ザイラ
植物のダメージが減少。
ザイラ使いに対して“スキルの発動にもう少し慎重になるよう”求めた前回のパッチですが、そこでのマナ自動回復のナーフは軽めに済ませたと言って良いでしょう――このパッチではもう一歩踏み込み、スキルを当てられなかった場合でも敵から接近する機会を奪っている、植物によるハラス能力に手を加えることにしました。
全般
ミニオン&モンスターゴールドによる賞金
ファームで負けている状態で死亡すると、復活後はミニオンとモンスターのキルで得たゴールドよって賞金が懸けられるまでの時間が延びるように。
プレシーズンで実装されたミニオンとモンスターキルで得たゴールドによる賞金は、“序盤の不利をファームで取り返した場合にも賞金首になってしまう”という思わぬ副作用を生み出してしまいました。今後はそのような事態が発生しないよう、調整を行います。
ロード画面のアップデート
今回のパッチで装いも新たにリニューアルされるロード画面は、現在のLoLにぴったりのスタイルを備えつつも、今後追加される新機能の土台となるものです。今回のアップデートで行われる主要な変更は以下のとおりです。
- ランクのロード画面ボーダーが現在のランクを反映して随時更新されるように
- ロードの進行状況がプレイヤー別ではなく、画面の下部にある一本のゲージで表示されるように
- ロード画面でプレイヤーのカードをクリックするとカードが裏返って以下の情報が表示されるように:
- 味方:チャンピオンマスタリー、名誉、各プレイヤーの選択に応じてランクアーマーかレベルボーダー
- 敵:チャンピオンマスタリー、名誉
バグ修正
- ルブランのQ - シジルマリスと再演されたQ - シジルマリスのマークが、それを発動できるE - エーテルチェイン、再演されたE - エーテルチェイン、再演されたQ - シジルマリスがスペルシールドでブロックされた際に消費されなくなりました
- 試合終了画面において、レリックシールドが「戦場の略奪」で獲得したゴールド量の2倍の値を表示しなくなりました
- デフォルトスキンのエイトロックスが再び翼の表示を切り替えられるようになりました
- 爆発花火ヴェイン・プレステージエディションのE - パニッシュメントの発射物の色をR - ファイナルアワーの通常攻撃と区別しやすくなるよう少し変更しました
- 混沌の闇ヤスオのR - 鬼哭啾々の音声が復元されました
- プロフィールに新たなバックグラウンドを選択した際、タブを切り替えなくても即座に反映されるようになりました
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